がんばれ自分、あと2週間。と、吉野家のお客様相談室への感謝。

  2017/08/22

タイトルがまるで「がんばれニッポン」みたいなお寒いことになってしまった。が、もうとにかく自分を鼓舞するしかない。

画像は新宿の地下街で毎朝通るたびに気になっていたカレー屋のモーニングプレート380円なり。ほとんど毎日、通るたびに食べようかどうかと足がもつれたりするくらいだったせいか、たいしてうまくもないなあという、リピートはないだろう内容であった。

それはさておき、今週は5日連続3〜4時に起床して制作することができた。そのことをまず大々的に褒めてあげたい。おかげで、おそらく休み一日分くらいは進められたと思う。が、まだまだ完成への道は遠い。

そういうわけであと2週間。配送業者に頼んで送るので、リミットは6月17日(日)なのである、のだが、運の悪いことに前日の6月16日の土曜日は学校でテーブルマナー研修とやらが朝っぱらから夕方近くまであるので、実質15日までには仕上がっていないと駄目なのである。テーブルマナー研修とはなんじゃらほいと言いますと、なにかどこかしら立派なホテルのなにかしら社会的地位のある肩書きの方がいらっしゃってテーブルマナーのイロハを愚鈍な生徒諸君に教えてくださるそうなのだが、個人的には状況が状況なので、ぼくとしては愚鈍ではなく牛丼の用事がありますのでそのイロハはまた今度にしていただきたい気持ちでいっぱいである。

さらにその出品と並行して、とある展覧会プランの公募に応募するポートフォリオを作成しているので、もう頭は牛丼一色である。で、ぼくがいま一人もじもじと構想を練っているその展示プランでは吉野家の牛丼の"どんぶり"が必要なので、もし通過した場合それをどうやって調達しようかと、吉野家のホームページを調べてみた。するとよくある質問ページに「どんぶりや備品は販売していません」とのこと(ていうか、そもそもそれってよくある質問なんや(笑))。しかしもしかするともしかして、事情を説明すれば"貸与"ならば可能なのではないかと思い(いや、ほんとはそんなわけないだろう、いかにいっても上場企業の吉野家なんだからしっかりマニュアルがあって即答でダメに決まってるでしょうと思ってはいたけれど、ものは試しである)、メールにて問い合わせてみた行動的なぼくである。

すると小一時間で返事が返ってきた。店舗での牛丼の提供時間に引けを取らない素晴らしいレスポンスである。感動した! となつかしい口調で言ってあげたい。では、返信内容をそのままご紹介してしまおう。

新宅 睦仁様

               株式会社  吉 野 家

               お客様相談室   ○○ ○○(←伏字)

謹啓、新緑の候、益々ご清祥の事とお慶び申し上げます。

平素は、格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

この度はご意見を頂きまして、誠にありがとうございます。

HPを拝見させて頂きました。吉野家の牛丼をモチーフに

して頂いているということでございますが、丼、湯呑等、

店舗の備品につきましては、通常、貸し出しはしておりません。

ご要望に沿うことができず大変申し訳ございませんが、

何卒、ご了承をお願い致します。

なお、HPで公開している作品紹介に吉野屋と記載されて

おりますが、正しくは吉野家でございます。よろしくお願い致します。

今後、一層の内容を充実しお客様のご期待に沿うべき努力

を行って参りますので、今後とも宜しくお引き立ての程、お願

い申し上げます。

                            敬具

まず馬鹿丁寧な内容に笑ってしまったのだが、なんとその馬鹿丁寧な口調のままズバリ誤りのご指摘をいただいてしまった。おお、おお、すいませんすいませんすいません、確かに吉野"屋"ではなく吉野"家"でした。ほんとうにすいません。でも、読み返すとさらに笑ってしまった。だって訂正をお願い致しますとかじゃなくて「よろしくお願い致します。」って。なんかその筋の方が「兄ちゃん、まあよろしく頼むわ」とかいう感じの言葉の裏にある圧力を感じなくもないではないか。なんて笑っている場合ではない。ええ、はい、十分によろしくお願いされましたので、早速HPの表記は訂正させていただきました。大変失礼いたしました。

いやしかし、それにしても大変ありがたいご指摘をいただいた。これは美術を志すならば、特にコンセプトに重きを置く現代美術を志すならば絶対にやってはならない凡ミスであると思う。たとえばジョゼフ・コスースのチェアーにおいて、もしもスペルミスがあったとしたら、それはもう完全な大失態であり作品として不成立でさえあるのである。

ほんとう、吉野家のお客様相談室には感謝としか言いようがない。もしもこんな問い合わせをしなければ、ぼくは永遠に気づかず間違い続けていたであろうし、友人知り合いも一度ふうんと見過ごしたものを改めて気づき指摘してくれることなどはまず無かったであろう。

よく言う教訓だが、くだらないとか、どうせだめだ、なんて思わずにとりあえずはやってみるもんだと、改めて痛感した次第である。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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