第15回岡本太郎現代芸術賞、を見た。
2017/08/22
なんだかんだで毎年見に行ってる。これだけは、本当登戸に住んでてよかったなあと思う。徒歩圏でこういうレベルの高い作品が見れるのはとてもうれしいことだと思う。
で、今年の内容ですが、微妙でした。なんだろ、大震災や原発といった時事問題を扱った作品も散見されたけど、あれから約一年。その消化は早いのか、遅いのか。
いや、それを取り上げたいのは十分にわかるんだけどね、ぼくはどうも時事問題を扱った作品が好きではないらしい。なんでかっていうと、そこに永遠性を感じれないから。もちろん、完全に永遠の永久不滅の画題なんてないのかもしれないが、せいぜいキリスト生誕とか、そんな宗教的なことでしか”擬似的”な永遠の画題なんてないのかもしれないが、どうも、時事問題を扱った作品が苦手だ。
まあそんなこと以前に、樋口くんがツイッターで今年はいまいちだったみたいなことをつぶやいていたから、その先入観のせいかもしれないんだけど、なんか、ガツーン!という感じはなかった。
でもまあ、僕の中で好きな作品は二点あった。
松山賢さんという作家の、「絵の具の絵」と、湯真藤子さんの「日本!今も昔も」という作品。
なんていうか、結局僕は「ごくまじめに描かれた作品」が好きなんだなあと思う。というか、この二つの作品は、両方ともまっとうな写実的表現で成り立っていたのだが、どうも日本人ぽくないような気がした。
すごく中国の現代アートっぽい気がした。キャンバスが濡れているかのようなリアルな水滴を描く、金昌烈(キム・チャンギョル)のような雰囲気。っつっても、この人は韓国の作家か。そう中国では、不気味な自画像を繰り返し描く方力鈞(ファン・リジュン)のような雰囲気。
まっとうな描写技術とモチーフの特異さによって、じっとりとした、不穏な空気が漂っている。
だからまったく絵画としての明るさは感じられない。すごく内向きな空気を感じる。でも、ぼくはそういう雰囲気の作品が好き。特に松山賢さんの「絵の具の絵」は、ちょっと部屋に一枚欲しいと思った。
いま現代は、芸術が終わったあとのアート、ということになっているらしいが、まあ、何が芸術なのか、ますますわからなく、難解になっていっているように感じる。最近は単純で明快な作品が多い気がするのだが、そのわかりやすい印象に反して、実はどんどん難解になっているような気がする。とかいう、それっぽい感想をつづってみたけど、ぼくは芸術の何たるかなんてちっともわかってはいないので、あしからず。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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