陽気の美学
2017/08/22
さっきコンビニに行ったら僕の前に子供二人とその父母がいた。
子供が「これキン肉マンじゃなーい?」と何かを指差して言っていた。
会計を済ませて外に出ると先ほどの家族が僕の前をゆっくりと歩いていた。と、急に母親が歌い出した。「ああ~、心に~、愛がなーけれーばー、スーパぁーひぃろーじゃあーないのさー~」と、結構なでかい声で。その母親はキン肉マンに詳しいのか正しいらしい歌詞でしばらく続きを歌っていて、それから「きーんにーくーまーん……わぁーぎゃあー」と子供たちを追いかけ心底幸せだと言わんばかりの笑い声を上げていた。
ついさっきまで僕はその夫婦の身なりを見て、なんだかみすぼらしいなあ、とか思ってたんだけど、みすぼらしいのは僕のような気さえした。
夫の影を踏んではならない時代よりは、もちろん現代は良くなったんだろう。それに、その時代に比べて概して女は楽しく生きれるようになったんだろうと思う。いやしかし、その時代はその時代で、何らかの楽しみがあり、また、皆がそのように生きていたのだから、自分は辛い、という意識は希薄だったかもしれない。他人が居て初めて自分の立ち位置を知れるのだから。
今日は棟方志功のメガネを描こうとしてフォトショップで色々いじっているのだが、どうにも難しいなああ、と。現物どっかにないかなあ。資料館とか。ううむ、ううむ、とどうにかこうにか色んなメガネを組み合わせてなんとか出来るんだろうか。僕はそのものを見ないと描けません。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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