ぼくの姉に子供ができた

  2017/08/22

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バっカじゃないの、
という感じだけれど僕はなぜだか男はつらいよの寅さんを思い浮かべてしまった、それを聞いた時に。
フーテンなんていうほど大胆にも硬派にも生きてはいないけれど、ああ僕は「おじさん」になるんだなあと、しみじみと思った。
男か女かしれないけれど、おいミツオ、なんていって、フーテンの僕は突然に実家に帰っては、その子にしょうもうない話を吹き込んだりするんだろうか。その子に“画家のおじさんがいるんだ”なんて言われたり思われたりするんだろうか。そして僕はまだまだ小さい子供だな、なんて帰るたびに思いながら、しかし気づけばお酒のCMに出るような年頃になってて、「僕のおじさんは画家じゃなくてバカだった」なんてしっかり気づいたりするんだろうか。
そういえばどこかミツオはフーテンの寅さんに憧れっぽい表情を見せるときがある、ような気がする。いや、それは今の僕のどうでもいい希望かもしれない。
まあそんな想像はさておき、ぼくはまた決まりきったように感慨にふけってしまった。涙もろいのはきっと母親ゆずりだろう。
感動というか、あのお姉ちゃんが、という感じで、別にわっと思い出がこみ上げてきたとかじゃなくて、自分が死んだあとの世界を筋道立てで細かく想像していくとある地点にきたときにぶわっと恐ろしくなるような、話題にそぐわない比喩だけど、そんな感じで、大きな不思議を漠然と感じて、なぜだか泣き出しそうになってしまった。窓外はまだ全然明るいのにもかかわらず。
まったく、こんな時に限って月並みな言葉しか思い浮かばない。ただ、願うことはまるで僕が旦那か何かみたいだけど、その子が健康であること、ただそれだけだ。少々バカだってかまわないと思う。とにかくは五体満足であってほしいと、この世界なんかくそくらえとも思いながら、しかしそうであってほしいとけっこうな真剣さで思う。
やっぱ画家じゃなくてバカだけど、「こんどの夏休みに画家のおじさんが来るから絵習うんだ」なんていう、そんな未来を夢想してしまう。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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