見分相応という名の偏見
2017/08/22
朝、肩にギターをかついで颯爽と自転車で走り抜ける青年、しかし容貌はさえず、ぼくは思わず「あれっ、君がギター?」と余計なお世話な疑問を投げかけてしまった。
とにもかくにも余計なお世話には違いないが人にはイメージというものがありさらには無意識の内に似合う似合わないを判断、というより反射的に感じているところがある。
で、毎日毎日、生きていると無数の余計なお世話を感じてしまう。「あれっ、君が金髪?」「あれっ、君がサングラス?」「あれっ、君が電車の中で抱擁?」というような。
まあそんなことをいちいち言っていてはしまいには「あれっ、君が呼吸を?」なんてことにもなりかねないが、ああ僕はけっこうけっこう性悪だよな、という気がする。
風邪はだいぶよくなって、そのせいかなんだか気分がよくなって今日は日高屋でごくごく控えめに飲んだ。
この控えめっぷり、自分で自分を誉めてやりたい。ギャンブル依存症や買い物依存症などいろいろあるが、そうでない人は漠然と「なんでほどほどでやめられないの?」と軽い嘲笑混じりに思ってしまうものである。
が、ぼくも結構な依存症だと思う。アルコール依存症、というか居酒屋依存症、というような。
飲み始めるとどこまでもとことん行ってしまいたいような気持ちになってしまう。明日の予定などもうどうでもよくなって明日には地球が終わっちゃうかもしれないしそもそも僕が終わっちゃうかもしれない、なんてぼんやりぼけぼけ思いながら気が済むまで飲んでしまうのである。
さらに悪いことにはそんな夜のあとに世界も僕も終わったためしがないということだ!!
いや、まあそれは言い過ぎだけど、それに近いようなとこはある。
いつか父のビールを舐めて苦いと顔をしかめていた僕と、とりあえずナマ、と慣れた口調で頼む僕が途切れず繋がっていて同じ人間だとは、僕自身、とても思えない。
とりあえず、明日は早起きして絵を描こう、いや描かねば。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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