気が済む時は

  2017/08/22

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アスファルトが薄く濡れていて、一雨あったのだと知る。空を見上げると低く雲が敷き詰められている。
最近見た怖いものがある、それは大阪の放火魔の顔。
犯罪者の見てくれにはけっこう興味がある。たとえば宮崎勤たとえばサカキバラたとえばアキバ無双。
で、事件後に流れるそういう奴らの顔を見たくて見るんだけど、なんだか拍子抜けするようなところがある。ちっとも悪そうじゃなく残虐そうでもなく、当たり前といえば当たり前だけど、行為に容姿が追いつかないというか負けているというか人間は人間でしかなく悪魔でもなんでもないなというような。
だけど今回の放火魔は違う。圧倒的な迫力がある。うつろな目、とよく表現するが、うつろどころか単なるガラス玉がはまってるような眼球の機能なんかとうの昔に失ってしまってるんじゃないかというくらい何も映ってなさそうな感じがする。
それでもってテ脳みそはすっからかんなのに、両方のコメカミあたりにへドロのようなへしゃげた脳みそがこびりついてそうな感じがする。
人の顔を見て心底こわいと思ったのは、もしかすると初めてかもしれない。
なんだかんだ、みんな善良な顔をしているなあと思う。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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