横浜中華街に行ったけど

最終更新: 2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000068.jpg

画像はご覧の通り食事をしているところ。梅蘭とかいうカタヤキソバが有名なところ、らしい。グルメに興味が皆無なので有名だろうが無名だろうがどうでもよく、とにかくはビールが飲めて安くて量が多ければ僕のなかでその店は“名店”になる。
そういう価値観を持っている僕であるからして昨日のお店は名店とは呼べなかったけれど、まあ確かにおいしかった。有名らしいカタヤキソバより右のほうに写ってる豚バラなんちゃらのあんかけごはんとかいうのがむちゃくちゃおいしかった。
特にその匂い。なんだろう、八ツ橋の、なんていう物質だっけ、ヤッケ?ハッカ?違うな、とにかくは八ツ橋の匂い、薬膳料理のような匂いがして、それがまた僕の気に入ったのだった。
それを言うと「八ツ橋の匂いなんか全然しない。あんた、そんだけ鼻も鼻の穴も馬鹿でかいのに、頭おかしいんじゃないの?」と一蹴され、ぼくはその瞬間からメシがまずく、機嫌が悪くなってしまった。
その機嫌の悪さは延々と続き、生まれて初めての横浜中華街は「不機嫌になるところ」と僕の記憶にしかと刻まれてしまったのである。
それからようやくで機嫌が直ったのは夜も深まる23時前、ごろ。
駅に向かう道すがら、マンションから子供の笑い声が聞こえてきた。
音のほうを見上げると、ほのかに暖色ともる一室から、シャワーの勢いある水音や、はしゃぐ子ども達をたしなめるような母親らしい女性の声が聞こえてきた。
親子でお風呂のひとときを満喫しているようで、姿こそ見えないものの僕はその窓を見上げて、妙にいとおしい気持ちになった。うん、そういうのってとても素敵だ……としみじみしたその瞬間「カァーッ、ペッ!」と同じ窓からお下品な音、お父さんに違いなかった。
僕は思わず吹き出してしまった。ああ、生活っていいよね。美しきも汚らしきも楽しみも苦しみもすべていっしょくたになって、とにかくは日々を生きていく、生活。
生活って、なんだかいとおしい。
まあそれは、人生がいとおしいってことでもあるのかな、たぶん。
うん、生きるっていとおしい。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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