広島ランニングナイト

最終更新: 2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000854.jpg

おかしなもので、ついさっきまで安堵していた家族空間が気にくわなくなって、ちょっとイライラして、これはいかんと健全すぎるストレス解消を試みた21時、ランニング。
走るのはいつも30分と決めている。それで、そのくらいの時間がかかりそうなコースを選んで僕は一人駆けてゆく。実家に服がなくて、上は普通のカーディガンだったりする。
で、とにかくは走ってゆく。広島にたいして思い出はないとか言いつつ、街並みがいろいろと思い出させてくれる。
中学校の時に通っていた塾はテナント募集中になっていて、そのビルの三階で年上の女の子からラブレターらしきものをもらったっけなあ、なんて、しかし決してモテてたわけじゃなく、からかわれてたんだよなあ、とか。
ハッ、ハッ、ハッ、と息を切らし、思い出をなぞり続ける。街並みにさしたる変化はなく、母校の中学校に差しかかる。
何か、月並みな歌の歌詞であった気がするけど、今でもあの日のぼくがそこここに居るような気がして、なんだか泣きたくなって、まあつまりは安いノスタルジーってやつで。
今のほうが確実に良くなってることはわかってる。どこかいじけていたようなあの頃のぼくは、今の僕を夢の中でさえ想像できなかったろう。
ばっかばかしいんだけど、止まらず走りつづけながら、あの頃のぼくはどこに行ってしまったんだろうと考える。
そんなこと、わかりきったことのようで、しかしよくわからない。

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わかりやすく投げ銭で気持ちを表明してみようという方は、天に徳を積めます!

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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