孤独な者は猫を愛すらしい

最終更新: 2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000795.jpg

今朝書いた自画像を載せようかと思ったんだけどどうしてもこの“猫にまつわるエトセトラ”を話したかったので苦汁の決断で自画像はまた明日かいつかにする。
というかこのブログに“生きている”動物の画像が登場したのは初めてかもしれない。わざわざ“生きている”と書いたのは鶏や豚は肉塊として登場しているからである。と、こんな表現の仕方から分かるかもしれないが僕は動物、というか犬と猫、いや、猫はまだマシとして、最上級に嫌いなのは犬である。そんなこんなで“犬畜生”という言葉が好きである。だいたい犬というのは……
と、犬についてのエトセトラを話すと今日の話題に辿り着けそうにないのでやめとくけど、とにかく!僕は犬が嫌いなのである。どんなにかわいい女の子が犬好きになったらチョメチョメ(古い)してあげるなんて言ったとしても僕は即答でノーサンキューである。
ああ、犬について話すと興奮してしまう。とりあえず今は犬のことはほっとこう。
で、画像の猫なんだけど市ヶ谷のとある公園に住み着いているらしい。で、とにかくはそこらをブラブラしてはあくびしたり毛繕いをしたりしていた。
そこへ男が一人、お湯が注がれたカップラーメンを手にそろりそろりと歩いてきた。
その男はバイトの面接に行った帰りか職場に友達が居ないのか空気が耐えられないのか、もしくはニートでホームレス初日なのか、とにかくは疎外感たっぷりな内向的な感じだった。決してダボダボな感じを狙っているわけじゃなくダボついたサイズのダウンジャケットを着ていて、それが男の薄幸を如実に物語っているようだった。
男はベンチに座るとおもむろにカップラーメンを食べ始めた。が、その直後ざざざと雨が降り始めた。もともと雨が降りそうだったし天気予報でも雨が降るとちゃんと言っていた。しかし男は薄幸に加えて要領の悪さもあるらしく傘を持っていないようで、まあ傘をさしてカップラーメンを食べるには手が一本足りないんだけど、男は緊急非難と、立って大きな木の影に入った。
男はいかにも(まいったなぁ)という顔をして空を見上げて、それから立ったままカップラーメンをすすり始めた。雨の音と麺をすする音とは似て非なるものだが、やはりよく似ていた。そこへさきほどの猫が寄ってきた。
猫はごろごろと男の周りを歩きまとわりついて、男は迷惑そうだった。しかしじきに“僕ら孤独”という親近感が生まれたのか、ラーメンを箸で少しとって、ひょいと猫に与えた。瞬間、猫は待ってましたとばかりに無心に食べ始めた。それを見て男はちょっとだけ、微笑んだようだった。
その猫はデブだった。きっと彼のような者達が1日に何度となくやってきては、パンやらごはんやら菓子やらを投げ与えて、そしてちょっとだけ笑って帰っていくんだろう。
ひとりで居るときに猫と出会うと、なぜだか何かを与えてやりたくなる。なんだろうあの感覚は。大げさかもしれないがそれは人間の本能なのかもしれない。
ぼくは、ウィンナーを一切れあげた。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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