休日に浅草で落語というセンス
2017/08/22
ある意味では焼き魚に大根、カレーに福神漬けくらいにべったべたな組み合わせだけど浅草で落語を見てきた。
で、今日の画像は「外人と雷門」。これぞ浅草という組み合わせだと思ったのでそのように撮影した、が、どこのだれで何人で何教を信仰しているかは不明。要するに知らない人である。
どうでもいいけど、浅草に来たのは高校生の時に父親と来た以来な気がする。あるいは浅草には来たかもしれないが雷門を訪れたのは高校生ぶりだと思う、けど、最近記憶力に自信がないから来てるかもしれない。まあとりあえず父の行動を模倣して、雷門の歴史が書いてある看板を精読しておいた。
へぇ、現在の雷門は松下幸之助が寄贈したものなんだって。へぇー、松下さんは偉大だな、うんうん次に何か家電を買うときは松下さんにしましょう、とか思ってるうちにぼくの初めての浅草落語鑑賞が始まった。
訪れたのは日本一?の寄席だと言われている浅草演芸ホール。料金は一日中好きなだけ居れて(いつ来ていつ帰ってもいい)大人ひとり2500円。(阿藤かい風に、旅日記とかそういう感じで)
風流な趣味だろ?なんて通ぶって週に一回、はきびしいけど月に一回、いや、2ヶ月に一回、いや半年に……とにかくは「いつかはわかんないけどとにかくはまた来ますよ」という感じのお値段である。
で、結論から言うと、よかった!
僕は知らなかったけどM-1に出ていたというナイツって芸人が出てきたりして、まあそれは素直に笑ったりして。
でも僕にとって一番いい経験というかいい感慨だなあと思ったのは落語というのは非常に声が重要なんだなと思ったこと。
話の内容はすごく面白いのにその声質のせいでいまいちだったりする。うまい例えが出てこないけど、安っぽい声というのがあって、それが多分に話の質を低下させているようだった。なんだろう、仮に百年芸を磨いても下っ端のまんまだろうなというような。
それとは逆に声がいいと話が何倍もよく感じる。笑点に出てる“こゆうざ”(漢字不明、だが、笑点ではいつも歌丸を棺桶に片足つっこんでるだとか髪がないだとか生きる化石だとかいじってる人、と思う。多分)って人の声とか、やたら威厳が感じられて、もちろんベテランで話がうまいってのもあるのかもしれないけど、いかにも堂に入ってる感じで、笑いつつも僕はちょっと尊敬の念すら感じてしまった。
それとあの話が本題に入ったときに羽織りを脱ぐ感じも素敵だった。
なんか印象深い話があったから書いておくけど、町医者が美人の娘の診察をする場面で、医者が娘のお腹の一部を押した時、娘はつい放屁してしまった。娘はもちろん恥ずかしそうに赤面してしまう。医者はびっくりしつつも気を利かし、掛け軸に見とれていたことにして、その娘の母親の呼びかけをしばらく無視して、「ああすいません、最近はのぼせがありまして耳もすっかり遠くなりまして」なんて言う。そう言った瞬間娘の赤面がすっと治る。
なんかこう文章にするとたいしたことないくだりなんだけど、僕はなぜだかやたらと「いいなあ落語、素敵だなあ日本、」なんて気持ちになったのだった。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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