不本意な労働と戦う会

最終更新: 2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000972.jpg

あたりまえだけどそんな会は無い。でもあったら入りたい。僕には今でも“人はなぜ働かなければならないのか”という大学の時に読んだ新書が必要らしい。
なんでだか今だによくわからない。もちろん理屈ではわかるけれども気持ちの上ではどうにも納得がいかないのである。
とかなんとか言って労働のことを掘り下げていくと明日から公園で半永久難民キャンプも辞さない構えになってしまいそうなのであくまでも爽やかに「全ての働く人たちよ今日も1日おつかれさまでした~」で大人しく退散しておく。
で、予告通り森村泰昌の話。※以下森村さん
森村さんといえば自分自身をモデルにゴッホになったりモナリザになったりフリーダカーロになったりはたまたセザンヌの絵のリンゴになったりというセルフポートレート写真の作品が有名だろう(森村さんは著者の中で「まあ言ってみれば美術コスプレというような感じです」と言っている)。
で、ああいう作風が生み出されたエピソードがおもしろかったからみんなに教えたい、いや、教えてあげようか?
森村さんは幼少のころより絵は好きだったが、本格的に習い始めたのは高校になって美術部に入ってかららしい。また動機は油絵がなんだかカッコよくて自分も描けたらいいなというような理由からだったらしい。その時点で僕は親近感を抱いてしまう。
高校も終わりに近づく頃、進路はどうしようかとなってなんとなく美術系の大学に進もうとなった。それで最初は自力でガリガリ描いてて、しかも自分の絵には結構満足していたという。どちらかというと繊細ではなく大胆にガリガリ描くタイプだった。
しかし独学もなんだから一応は予備校に行くことにしたんだけど、そこで森村さんは絵が嫌いになってしまう。
たとえばガラスのコップを描くとする。すると先生に言われる。
「全然だめだ。 君の描き方じゃあまるでコップの表面に鉛筆の粉をなすりつけてるみたいだ。輪郭線なんかも描くんじゃない。外界と対象とを、光やテクスチャ(表面)で丁寧に追っていき画面にそれを写し取るんだ」
というようなことを言われたらしい。まあ普通に落ち込むだろう。僕もまったく同じように経験があったからよく解る。わかるけど「ああああうあー!もうデッサンなんか知らんわボケ!」という気持ちになるものなんである、とか言ってもそんな苦悩するほど量はこなしてないんだけどね。三流大学だし留年はしても浪人はしてないし。
で、そんないろいろを教え込まれて先生の言いつけをしっかり守って描くというのは本当に窮屈で、もともと元気で押し切るような絵を描いていた森村さんの絵は明らかに「貧相」なものになってしまったらしい。
森村さんは一年浪人して美大に受かるんだけど、本人曰わく「一年浪人して絵がうまくなったから受かったわけでは絶対ない。その受験の時のモチーフが“めざし”で、そんなモチーフだと表面の処理がガラスや金属に比べて曖昧になるから、それでたまたま受かっただけ。とにかくはその一年でデッサンの技術が上がったわけでは決してない。」らしい。
うーん、なんとも興味深い。
また指が疲れてきて腱鞘炎になりそうだから続きはまた明日、たぶん明日。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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