ネオテニー・ジャパンに行った

  2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000232.jpg

樋口が大絶賛してた、ああ名前忘れちゃった、佐藤?なんとかが展示されてる展覧会、ネオテニージャパンに行ってきた。
で、樋口が天才だと言いまた度肝を抜かれたという興亡史なる作品を見た。
名前をちゃんと覚えてないって時点でバレバレかもしれないが、まあ、へぇー、という感じで特にこれといった感動もなし。
それよりもヤラレタのは鴻池朋子さんのナイファーなんちゃらという作品。
膨大な数のナイフが少女や狼にからみつきとにかくはムチャクチャやこいつ、カッコエエとしか言いようがないでホンマ! という感じだった。
と言いつつ、やっぱり僕は感動が薄い人間なのだと思う。いくら鴻池さんがよかったとはいえ、放心したり脱力したり度肝を抜かれたりというようなことはなく、ああー、いいなあこの絵、と至って冷静に気持ちを単純に言語化して感じるばかりであって、いわゆる「言葉にならない」というような状態にはまったくならなかった。
だいたい僕は言葉にできぬようなことやモノというものはまず無いと思っている。何かで読んだが怪物や妖怪に名前をがあるのは、名前をつけることで恐怖を減らすためなのだそうだ。確かに、得体の知れない存在ほど怖いものはない。ってあんま関係ないけど「言葉にならない」って言ってる時点で「言葉にならない」という言葉になってしまってるわけで、いや屁理屈とかじゃなく、たとえば「微妙」とか言いながら「微妙」という言葉で表現してしまったらそれは微妙でもなんでもなくはっきりとした「微妙」という表現になってしまうのでる。だから本質的には「絶対」も「微妙」も同じなのである。
とかいうのはまあいいんだけど、とりあえずこの展覧会は行ってよかった。
絵画なんて終わってる、という気持ちがなくもなかった最近のだらけた自分に「ああ、絵画ってまだまだ可能性あるしおもしろいわ」と思わせてくれたから。
少し、やる気になった。
でまあ展覧会はそんなこんなで、帰りには上野駅のガード下でダラダラグビグビ飲んだ。
なんだろう、おれは居酒屋から生まれたのかもしれないというほど、ああいうところは無条件にメチャクチャに楽しい。
死ぬときはあわよくば居酒屋で笑い転げながらさようならがしたい、いややっぱ自宅でまっさらなノリの効いた布団の上がいいや。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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