エブリデイスパゲティテイスティ

  2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000992.jpg

ここ最近、かれこれ一週間くらいになるだろうか、毎晩スパゲッティを食べている。
というのも、どうも僕はスパゲティを作るのがへたくそなのでうまくなりたい、というのは当初の思惑で今ではすっかりスパゲティ野郎である。
トマト系にクリーム系にペペロンチーノに中華風。
あれこれレシピを探してきては、今夜はこれこれにしましょうと料理にはげむ。頑なに使うのを拒否していたフォークまで使って(歯と金属の感触が嫌いだし、箸こそが食べる道具の中の頂点にあると思っているからスパゲティはもちろんケーキだって箸で食べる)、ビールを飲みながらゆっくり食べる。
今までなら適当に焼きそばとか作って10分もかからず完食しておしまいだったが、ちゃんと作るとなぜだか人というのは自然と味わって食べようという気になるもので、食べ終わるのに2、30分はかかるようになった。
そんなこんなで最近の夕食はいつも、とても豊かな気分になる。一人でビールを飲みながらスパゲティを食べているだけなのに、びっくりするぐらい心が安らぐ。毎晩が楽しみで仕方がないくらいなのだ。料理、万歳。自炊、マンセー。
閑話休題。
昨今よく言われるのは女性が元気で男性は元気が無いということ。
その理由で最近おもしろいことが書いてあった。何の本かは忘れた。
今の世の中は終身雇用制の崩壊だとか男女同権の進歩によりセクハラ云々などがやかましくなって、男性にとっては昔に比べて制約の多い時代である。
それは言い換えれば昔男性に許されていたというか与えられていた権利が「奪われた」ということである。
対する女性は今まであった制限がほとんど日進月歩的な勢いでどんどん外されていき、たとえば新幹線の車掌などは夜勤があるからということで女性はなれない職業で、JRで女性の仕事はみどりの窓口だけだったが、今では規制緩和されてそのような分野にもどんどんと女性が進出してきている(AERAで最近読みかじっただけだけど)。
もちろんそれだけではなく、現代社会における女性の地位・待遇の向上にはただならぬ勢いがあり、今この瞬間も突っ走り続けている。
つまり現代は、男性にとっては“奪われる時代”であり、女性にとっては“与えられる時代”というわけである。
だから女性が元気で男性が弱っているのは当然といえば当然のことなのである。
まあそんなことが書かれていた。なんか、つくずく確かになあウムウムウムと首肯させられる理屈だった。
しかしウムウムウムと首肯ばかりしてたってしょうがないから、さて、男性にとって不遇のこの時代、“どう男らしく生きるか”、それが問題だ。
新しい男らしさの発明は、おそらく急務である。
お母さんは炊事洗濯育児に掃除、お父さんはひたすら仕事で家を空け、という構図ではうまく収まらなくなっている時が来ているのではなかろうか(僕はあくまで古典的な家庭が築きたいけど)。
まあ時代はほっといても流れるし環境も然り。百年後の日本では假屋崎省吾系な男のことを“男らしい”と言っているかもしれぬ。個人的には嫌だけど、そうなってしまうならしょうがない。
男らしく生きよう。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

震災から一年の日曜日の過ごし方

2012/03/12   エッセイ, 日常

去年のその日は金曜日であった。そして今年は日曜日であった。 去年のその日、丁度一 ...

未来のねじ曲げかたは

2008/10/04   エッセイ

いろいろあって、京都に行くつもりだったけど東京でよくなった。 それは僕らにとって ...

他人を見下す若者たちのたちの中

2008/11/06   エッセイ

なんて魅力的なタイトルなんだと思わず買ってしまった。僕は相変わらず新書系が好きと ...

針の先で逆立ち、笑顔

2008/03/13   エッセイ

指先が冷たい。最近だいぶ暖かくなってきたのに、今、右手小指の指先だけが、ちょっと ...

水の中の

2008/08/24   エッセイ

この雨男! と虐待されております

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.