失うものがある

今年に入り、立て続けにチャンスがあり、もれなく大きな成果を出せている。

細かくは、人の幸福に関心のある変わり者はないだろうから説明しない。とにかくは、今まで夢見ていたようなことが毎日のように起こっている感じである。

それは、私にとって確かに幸せなことだ。日々のテンションのゼロ地点が、常に高くある。

その一方で、なんとはないさみしさ、はかなさを覚える。たとえば、私から離れていく人がいる。むろん、寄ってくる人もいる。言うなれば、私の周囲にいる人々が総取っ替えされるような気がしている。

それはまだ傍目には予感の域を出ないが、私にはきっと確実だと思える。

何につけてもやたらと憂いたがるのが私の性格ではある。とはいえ、本質的に人生なんてむなしいものなのだから、憂えないほうがどうかしている。

思う。有名になることはできるが、無名になることはできない。取らぬ狸の皮算用だと笑うだろうが、しかし、実際そうだろう。

何かを得ることは何かを失うことだとは言い古された言葉だが、それはもう、まったく、本当、その通り。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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