「LIFE feat 吉野屋牛丼並盛」コンセプトメモ

  2017/08/22

人間のもっとも強力な本能は「生きようとすること」である。
生きるためには、なによりもまず食べなければならない。
だから、人類史は必然的に「いかにして食べるか」という絶対の問題との戦いの上に築かれている。

しかし現代、「いかにして食べるか」という絶対の問題を、ほとんど完全に葬り去ってしまった世界がある。
もちろんそれは、ごく限られた一部の先進国の、持続性の危うい世界のことではある。

たとえば日本。牛丼並盛270円。早い、安い、旨い、ということになっている。

世界銀行の定義では、1日の所得が1米ドル以下に満たない人間を絶対的貧困層と呼び、世界に11億人は存在するという。現在の為替レートでの牛丼は、ざっと3倍以上である。しかし現在、日本で牛丼並盛270円は、早い、安い、旨い、ということになっている。しかし牛丼は、往々にして惰性的に、作業的に食べられる。味わったり、喜んだり、かみ締めたりすることは皆無である。

そんな世界で生きる人間は、食べることに呆れるほど無自覚なのである。
生きることは食べることであり、食べることは生きることであるにも関わらず。
つまり、食べることに無自覚であることは、そのまま生きることへの無自覚にほかならないのである。

詭弁ではない。実際、そんな世界でどれだけの人間が自分が生きていること、その事実をリアルに感じられているだろうか。

そんな世界の象徴として、ファーストフードはある。
そんな世界の人間は、生きているのではなく、”死んでいないだけ”と言うのは、誇大表現でしかないだろうか。

以上、個人的なメモ。というか、まじめに書いた。

今日は学校の授業中にこのコンセプトを夢中になってボールペンでがりがりルーズリーフに書きまくっていたんですが、そしたら休憩時間に後ろの人から、「なんか赤いオーラが出ていたんですが、何をそんなに書いていたんですか?」と聞かれてしまいました。でも、久しぶりにこういう行為に夢中になってる自分が嬉しい、わ。

ああ、楽しいな。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  関連記事

永遠と思われる

2008/05/13   エッセイ

白昼、ふと親の死に顔というか葬式の場面、骨を拾う場面などが鮮やかに浮かぶ。ああ、 ...

最終日の個展てんこ盛り

2008/08/27   エッセイ

でぇ、昨日の続きなんですがあ、て、え? 個展のことを書け? いやいやそれは明日く ...

わたくしの人間性回復法

2012/12/01   日常

風邪にかこつけて絵も描かずだらだらとした週末を送っているクソ人間こと新宅睦仁です ...

個展の件やけどさー

2008/08/26   エッセイ

この4つは基本、非売品ちゅうか参考作品ばってんが、お手を触れんようにたのんますわ ...

ホームページ更新

2009/01/11   エッセイ

しました! 無駄に時間がかかってしまった、というのも今回はメンバーページをがんば ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.