欲しくて死にそう

最終更新: 2019/11/19

前に中国で、ある少年がiPad欲しさに肝臓を売ったという話があった。

文字通り「喉から手が出るほど」欲しかったのだろう。まあ、逆に手を突っ込まれることになったわけだが。

しかし、これほど純粋で強烈な欲望もない。その途方もない熱量を考えると、無性に羨ましくなってくるのは私だけだろうか。

これといって欲しいものがなくなって久しい。あったらいいけど、なくてもいい。そんなものばかりだ。

むろん、欲望がないのはいいことなのかもしれない。仏陀なんかも、欲に溺れないようにと繰り返し戒めている。

それはそうなんだろうけれども、欲望がないというのは、どうして健全でないように思われる。

私は先の渇望の少年に、人間らしさを感じる。まともで正常だとさえ思う。一方、特に欲しいものもなく、日々をぼんやりと老いさらばえてゆく私は、どこかおかしいのではないかと思う。

何にしろ、私は肝臓を売った少年に、憧れこそすれ、とても馬鹿にする気にはなれない。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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