美術家 新宅睦仁のブログ。ほぼエッセイ、ときどき現代の美術とアート。

欲しくて死にそう

 

前に中国で、ある少年がiPad欲しさに肝臓を売ったという話があった。

文字通り「喉から手が出るほど」欲しかったのだろう。まあ、逆に手を突っ込まれることになったわけだが。

しかし、これほど純粋で強烈な欲望もない。その途方もない熱量を考えると、無性に羨ましくなってくるのは私だけだろうか。

これといって欲しいものがなくなって久しい。あったらいいけど、なくてもいい。そんなものばかりだ。

むろん、欲望がないのはいいことなのかもしれない。仏陀なんかも、欲に溺れないようにと繰り返し戒めている。

それはそうなんだろうけれども、欲望がないというのは、どうして健全でないように思われる。

私は先の渇望の少年に、人間らしさを感じる。まともで正常だとさえ思う。一方、特に欲しいものもなく、日々をぼんやりと老いさらばえてゆく私は、どこかおかしいのではないかと思う。

何にしろ、私は肝臓を売った少年に、憧れこそすれ、とても馬鹿にする気にはなれない。

新宅 睦仁

1982広島県生/2005九州産業大学卒/2013新宿調理師専門学校卒/現代美術家/シンガポール在住のカトリック。牛丼やカップヌードル、コンビニ弁当等、食物をテーマに作品を制作している。無類の居酒屋好き。★最近の読書メモ

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