松井のことも野球のこともよくは知らないが泣く
2017/08/22
天声人語をはじめ、各紙のコラムは松井ネタばかりであった。
それらをざっと読んでいた昨日の朝、思いがけず感極まって泣けてきた。
野球人生で一番の思い出は、長島茂雄と一緒にやった素振りだという。
わたくし、スポーツ全般に一切興味がないのだが、それで野球にも微塵の興味もないのだが、なぜだか、響いてくるものがあった。
結果が出せなくなったという。だけど幸せだったという。
これからまだ草野球が待っているとも、言っていた。
なんか、顔がぼっこぼこの野球してる奴、くらいの認識でしかなかったが、なんて素敵な野郎なんだと反省した次第である。
それにしても、なにが胸に響いたって、好きなことをやめるという決断の重みである。彼は、死ぬほど野球が好きだったのだと思う。だからこそ、その重みは半端ではない。ある種の死に近い決断だと思うのだ。
中日新聞のコラムにはこうある。
"テッド・ウィリアムズは、戦前から戦後にかけて活躍し、打率4割も刻んだ伝説の大リーガーだ。打撃練習で快音を響かせた後で、彼はつぶやいたそうだ。「おもしろいな、なんておもしろいんだ。一日中やっても飽きやしない。その上で金までもらえるんだからな」
▼松井秀喜選手は自著『信念を貫く』で、この逸話を引きつつ書いている。<テッド・ウィリアムズほどは打てない僕ですが、「一日中やっていても飽きやしない」という気持ちは同じです>
▼<僕は義務感だけで仕事に取り組んではいません。もっと単純な動機があります>とも記している。もっと投げたい、打ちたいと思っているうちに日が暮れる。何でこんなに早く太陽が沈んでしまうのか、と悔しがるような少年だったという。"
好きだからやる。誰に言われるわけでもなくやる。とにかくやりたいからやる。
それ以上に強力な力があるだろうか。ちょっと、うらやましくなってしまうほどである。月並みな一語で表せば、「ひたむきさ」ということになろうか。
しかし、そんな「ひたむきさ」に胸を打たれるほどに、自分が歳を取ってしまったということなのかもしれない。
そんな熱っぽさは、ぼくの目に、ときに浅はかに、ばかばかしく映り、しかし、同時に過ぎ去った日々への憧憬、うらやましさを感じさせる。
って、ぐびぐび泣いている場合ではない。おまえもがんばれ。というわけで来年初頭にグループ展の予定が入りましたのでお知らせします。原宿にある下記のギャラリーで期間は以下の通り。
THE _____ GALLERY (THE blank GALLERY)
http://www.the-blank-gallery.com
2012年1月19日(土)〜2月3日(日)
樋口くん伝いでのグループ展参加です。東京最後の思い出づくり、いや、これから死ぬまで続く画業の確かな1ページにしたいと思います。というわけで画像の通り鋭意制作中です。詳細はまた後日お伝えいたしますので、よろしくお願いいたします。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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