絵画制作のすすめ

  2017/08/22

昨日は新宿の「たつや」というゴミみたいな、決して誇張ではなくほんとにゴミみたいな牛丼屋で牛丼を食べる。場末という言葉ではぬるいような店だ。牛丼並盛280円也。でも画像がない。

カウンターに置かれたポップには、納豆と卵を混ぜるのがおすすめと書いてある。しかしぼくの財布の中には330円しか入っていないので、いくらおすすめされても卵と納豆(各50円)を注文することはできない。

でも別に悲しくもくやしくもない。むしろ味噌汁(50円)を飲みたい。しかし最近は塩分を気にしているので汁物は控えたい。しかも財布には330円しか入っていないので、280円+50円で330円になってしまったら、ぼくのお財布は空っぽになってしまう。別にいいのだが、50円おつりが返ってくる、という余裕が大事なのだ。ぴったりというのは不安だ。もしも10円玉の一枚が見間違いで5円玉だったりしたら、はたまた主力の100円玉が50円玉だったりしたら。

正直に言おう。入店時から不安だった。財布を見てちゃんと330円あることを確かめたが、それでも不安だった。

ゴミみたいな店がすすめる卵&納豆が頼めないのは悲しくもくやしくもないが、しかし、貧しいのは悲しい。そしてくやしい。

店員は、ロゴとも呼べないような字体で"たつや"と書かれたみすぼらしいエプロンを付けたるおっさん二人である。ひとりは妙にスケベそうというか性欲が強そうな40代男性、もう一人はこれまた"妙に"おだやかで優しそうな60代くらいの初老の男性。

スケベはエプロンの下に、ヤンキーが深夜コンビニにキティちゃんのサンダルを履いて行くときの格好のようなてろんてろんの短パンを掃いている。食品へのすね毛その他毛髪類の混入が心配される。

スケベはぼくに牛丼並盛を出す。うまいような気もするしうまくないよう気もする。というかどうでもいいような気がする。

初老がしゃべる。しかしあの人も、おかしいよねえ。甘えすぎだよぉ。だって、メシおごって、そのあと、いきなり保証人になってくださいだよぉ? おかしいよぉ。

スケベがしゃべる。ほんとだよぉ。それじゃドラマだよドラマ。あれがまだ二十歳やそこらならわかるけど、倍は生きてるんじゃないのぉ?

1.5倍のわが身がぴくり、反応する。

スケベは続ける。でもあれで、評価はいいんだろうね、いまのところ。あれだけデカイこと言ってんだから。

初老は返す。そんなもんかねえ。

さっぱり話はわからないが、とにかくはなんか突然保証人のお願いをするようなクソ野郎だけれど評価は高いらしい40歳近い謎の人物の噂であることだけはわかる。ぼくは牛丼を食べ終わる。300円を渡す。20円のおつりをもらう。50円を持って小田急線に乗る。いかん、これじゃ乗れない。いやいや定期券があるから大丈夫うふふ。

帰宅してすぐ、プロジェクターを用意し、M30号に手をつける。絵の制作を2ゲーム。これで一応すべての作品に手をつけたことになる。

学校の夏休みが終わるからというよくわからない理由をつけて、風呂にお湯を溜める。長いこと湯船になどつかっていないので、バスタブがちょっとびっくりするくらい汚い。誰かがここで死体をバラしたのでは?なんてどうでもいい妄想をしてしまうくらい。

さてこれでよく眠れると思って風呂から上がると、ひさしぶりにゴキブリと出会う。しばし全裸で殺虫剤片手に格闘する。そうして殺生のあと、以前買ったまましまい込んでいたけっこう強力らしいゴキブリ用の殺虫剤をあわただしく引っ張り出してきて、部屋のあちこちに設置する。

ゴキブリがまだそこらに居そうで、ゴキブリと添い寝なんてことになりそうで、何の意味もないのだがベッドの端っこぎりぎりで寝る。気分と気持ちがよくない。ゴキブリとの格闘で気が立っている。不安である。なかなか寝付けない。寝ようとする。寝つけない。寝ようとする。23時過ぎごろ浅い眠りについたはず。

3時半に起きる。寝起き3分後には絵の制作に取り掛かる。寝ぼけ眼で1ゲームすると目が覚めてほどよくお腹がすいてくるので、朝ごはん作りを兼ねてお弁当も作る。というか、内容は全く同じなので、ただ朝と昼の分に取り分けただけと言ったほうが正しい。

いまにいたる。

ああ、しかし、何が絵画制作のすすめだったのかをすっかり忘れてしまっている。

このような日々の繰り返しの先に芸術がある、と思うか?

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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