ARTDISFOR作品コンセプト【3】

  2017/08/22

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「くたばれ東京藝大」展(以下くたばれと表記)の詳細はARTDISFORホームページ(http://adf.ifdef.jp/)に譲ろうと思います。
いまはとにかくは、自分の中で自分たちの企画した展覧会が一体どういうものだったのかを再認識することを優先したい。
まず、くたばれを開催したことではっきりしたのは、自分たちの作品は平面インスタレーションというカテゴリー志向しつつも、それ以前に「メタ絵画」だということである。
●メタ:小説をテーマにした小説や、映画をテーマにした映画などがメタな小説(あるいはメタ小説)、メタな映画などという風に言われることがある。この「小説内小説」「映画内映画」と言った入れ子構造は「小説とは何か、映画とは何か」という、それ自体についての自意識を如実に表していることが多く、そ
れぞれ研究の対象となる。メタとは「高次の」という意味でメタ小説、メタ映画などという使われ方をする。小説のための小説、映画のための映画というような意味である。※ウィキペディア(Wikipedia)から抜粋
芸術を芸術で攻撃しようとする時点ですでに“メタ”なるものを志向しているとも言えるのだが、よくよく考えてみても、自分たちの作品は絵画のための絵画に他ならないと思う。
一般的によく言われる絵画作品の意味や成り立ち、作者の制作動機などを羅列してみると「自然に対する感動」「生物の生命力への畏怖」などというものに始まり「都市の中の孤独」「雨上がりの匂い」「あらゆるものに映る影」「ゴミ山に感じる存在感」または草間彌生に代表されるような特定のモチーフへの執着、またはもっと単純に喜怒哀楽の感情など、各々思い思いのテーマ・題材を見つけてキャンバス上に表現する。
しかし自分たちは現実にある何かについて感動なり憤怒なりして創造力をかき立てられて絵を描くのではないし、喜怒哀楽などの感情をキャンバスにぶつけようとするわけでもない。
では何を思い絵を描くかと言えばただただ“いい絵が描きたい”と漠然と思って描くのである。森羅万象から作品とする題材をすくい上げるのではなく(この感動を絵で表現したい!とかいうのではなく)、まず絵画が存在し自分たちは“何かを”ではなく“絵”を描きたいと思う。絵画そのものが題材なのである。すなわちメタ絵画である。
そこで自分たちが描く人体や風景や動物は、あくまでも自分たちが漠然と思う“いい絵画”の一つの形体でしかない。しかし、自分たちがいい絵画と思う絵画はあくまでも主観であり、自分たちの活動は決して趣味ではないので、その”いい絵画”を他者に理解してもらわなければならない。
その方法を考えたときに自分たちが導き出したひとつの答えが平面インスタレーションなのだと思う。
平面インスタレーション(個展)は、自分たちの絵画のエピソードになるのである(くたばれで言えば人気投票や絵画を燃やすとかいう行為)。平面インスタレーション(個展)を行う前までは”極めて個人的ないい絵画”だった作品に、誰でもが理解できるエピソードが付加されることにより、基本的に閉じられている個人的な絵画が、他者の鑑賞に耐えうるものとして開かれる(作品を理解するための足がかりができる)、と考える。
今日はここまでにします。明日はどこから書くかよくわかりませんがグルグル書き連ねます。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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