あ、そう。39歳。

  2021/04/09

先月の3月29日は私の誕生日で、39歳になった。

あ、そう。

昭和天皇じゃなくても、そう言う。当の私自身、そう思うし、そう言う。

あ、そう。

そこのところへきて、Facebookは余計なことをしてくれる。誰かれかまわず私の誕生日であることを宣伝してなんか言えよと触れ回る。

この冷たい世界にあって、世間の人は案外に優しいというか、おせっかいな人が多いから、おめでとうの一言くらいは指を動かしてくれる。まあ、「おめ」くらいで変換予測候補に出るだろうから、鼻をかくほどの労力ではあろう。

『○○さん、××さん、他14人があなたのタイムラインに投稿しました。』

しかしそういう定型的な、おざなりなやり取りが好きではない私は、ただのひとつもコメントをチェックする気になれないまま、誕生日を過ぎ去らせ、2日経ち、3日経ち、そして一週間以上が経過してなお、やはり見る気になれないでいる。

私は私以上の当事者はいない私の誕生日を「あ、そう。」と思っている。

その「あ、そう。」以外のなにものでもない私の誕生日に対するコメントに「あ、そう。」以上のものがあるわけがない。

もちろん、それらのコメントに悪意などないことはわかっている。むしろ善意そのものであろう。しかし、善意から出たものが、すべて、いつもいつも人を喜ばせるとは限らない。いっそ悪意の方が快いことさえあると、私は思う。

ある程度の歳をとれば、さっさと死ねよくらいでちょうどいい。いやほんと、真面目な話。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

事実、女三人寄れば姦しい

2009/06/01   エッセイ

朝。向かいのホームには今から楽しい遠足と思しき子供の群。 ぐわぐわぐわぐわ、がー ...

小さき者へのしかかる悩み

2008/05/16   エッセイ

そわそわするのはやはり金曜日だからだろうか。とりあえずはなんかちょっとだけいいも ...

邪道の王道をゆく

2013/04/15   エッセイ, 日常

金曜日と言えば酒である。酒と言えば揚げ物である。というわけで串カツ屋を訪れた。そ ...

ライフワーク- 自画像

2008/10/29   エッセイ

描き始めたのはたぶんけっこうな純粋な気持ちで、少しでも絵がうまくなりたいからだっ ...

それぞれの幸福

2014/12/18   日常

家に帰りたくないときもある。 それは特に関係ないが、昨日は恵比寿のNADiff ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.