頭角の見つけ方

  2017/08/22

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昨日はわけあって落ち込んでて、なんだか生きるのも疲れたなー、というのは言い過ぎだけど自分の呼吸してる1秒1分がどうしようもなく無駄なことのように思われた、と、そんな夜だった。
まばたき少なくぼっけぇーと呆然とすること小一時間。
ふと無駄を有用に変換したいという気持ちになって、家では滅多に読まないのだが本を読むことにした。
デザイン史を学ぶクリティカルワーズ? とかいう本を。
開いたもののやさぐれているので斜め読み。僕は基本的には1~10Pまであればきちんと飛ばさず面白くなくても頑なに順番を守って本を読むクソ真面目な人間なのだがその時の気分はいわばヤンキーなのでアウトローでバロロロロと暴走する感じで読んだ。
と、1932年に生まれたピーター・ブレイクというやつの項に行き当たって読んでいると、なにやら彼はビートルズのサージェントペパーズなんとかというアルバムのジャケットを制作した、とあって、あれ待てよ、ピーターブレイクって画家知ってるけどこいつと同一人物なのかな?
と、僕は驚異的な記憶力でポップアートという画集を開いて僕の知っているピーターの生年を確かめる。
合致。
へぇー、こんな画風でどんなジャケットなんだろうな、とか思いつつも自分の知識で本に出てきたピーター・ブレイクと僕が前から知っていたピーター・ブレイクを合致させたことの方が僕には重要で、それで少しばかり気を良くしてさあさあ寝ましょう寝ましょうと一応はご機嫌な風で眠りについた。
でもなんでかな。よくわかんないけど深層心理ってやつかな。とにかくは深い部分でどうやら僕はけっこうな傷を負ってるらしくそれから二時間くらいは眠れなかった。
ナイーブすぎるよな、とは思いながら、根性と汗と忍耐とかいう体育会系よりはよほどマシだ、なんて自尊心を守りたいがための屁理屈を思いながら、というかそういうことを反射的に思ってしまうようなとこが、やっぱどうしようもなくナイーブな証なんだろうな。
うん、ぼくはナイーブ。悪口ひとつで首を吊る、って、たぶん、みんなそうだと思うんだけど。表に出さないだけで、さ。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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