自殺の研究を読み終わる

  2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000167.jpg

雨だったので例の傘を差した。
長らく読み進めていたアルヴァレズ著「自殺の研究」を読み終わった。小難しい感じで書いてあるのになぜだかおもしろくて嫌にならずに読み終えられた。
で、最後あたりに共感した一文があった。
「若者はいつも期待ばかりしていて、解決が遅く不完全なものは我慢できず、手際のいい、さっぱりした結論を求めるのである」
ああ、ほんとそう、若者ってそう、そういうものだと思うと、やけに納得させられた。ああ、なんだかんだおれもまだ若者なのだろう。
いやしかしそれは若者の特徴でもあるのかもしれないが“幼稚な人間”の特徴でもあるのかもしれない。あるいはせっかちの、合理主義の、エゴイストの、特徴であるのかもしれない。
なぜにぼくはそれに共感したんだろう。
そういえば半年かぐらい前に「耳をすませば」を見て思ったことがある。中学生あたりのときに見た時には思わなかったことを。
シズクが小説を書きあげて、おじいさんに読んでもらうシーンがある。
おじいさんはその原稿量を見て、すぐには読み切れそうもない、というようなことを言うんだけど、シズクは詰め寄る。
「読んでください!読み終わるまで、あたし待ってますから!」
一語一句までは覚えていないが、まあこのようなことを言った。
で、中学生の時分から考えるとずいぶんと大人になった僕は思った。
そう、若者ってそういうこと。性急に結論を求めてしまうもんなんだよ、なあああ~、と、しみじみ思ってしまった。
まあいまだに僕は性急だけれど、シズクよりはマシになったのではないか、とか思うんだけど、いや変わんないか、な。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  関連記事

頭でっかちなど居ない

2008/02/25   エッセイ

下り坂をゴミ山がゆっくりと降りてくる。しかしそれはゴミ山ではなくホームレスの全財 ...

カツ丼を喰らふ

昨夜のこと。土砂降りで、風も強かった。ぼくは、お腹がすいていた。 家に帰るまでに ...

出し抜き飛び越し柵の外

2008/05/02   エッセイ

ウコンの力を飲んでいたおかげか二日酔いにはなっていない。眠くはあるけれど頭は痛く ...

老婆と作業員とポカリと罪

2009/07/04   エッセイ

日常にはいろいろある。 同じような行為、同じような時間を繰り返しているだけのよう ...

危機感と行動

2014/07/31   エッセイ, 日常

今日でとうとう7月も終わりである。理想的な目標としては、あと一か月で太郎賞への応 ...