美学が溶け出す美学

最終更新: 2017/08/22

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ここは渋谷。山手線に電車が入ってきて僕は乗り込む。ドアが閉まりますよとアナウンスが流れ始めたとき、喫煙所でタバコを吸っていた大学3、4年らしい茶髪の男がタバコをねじ消し電車に歩み寄ってきた。
歩きながらツェっ、とツバを平気でホームに吐きすて、そして乗車。iPodを取り出しイヤホンをぶち込みフィニッシュ、ヤンキー座り。プシュウ、ドアが閉まり出発。日ごろ無関心を決め込んでいる僕もさすがに閉口。
ガタンゴトン。
また先ほどの田園都市線では昨今ちょっとした議論になっているベビーカーを畳んでいないお母さんがいて、僕が乗り込んだときには赤ちゃんが泣きわめいていた。
赤ちゃんは断続的に泣き続けていた。車内にはいかにも迷惑そうな空気が流れていた。もちろん僕も聖人ではないから、少なからずその車両に乗り合わせてしまったことを運がわるかったなんて思ったりしていた。
しかし、赤ちゃんは泣くのが仕事だったりすると思うんだよ、いや、気取ってるわけじゃなく、ね。少なくとも理性では、その泣き声を容認するべきじゃないかと。しかしまあ、鬱陶しいという感情はなかなか消せない。
なんというか、赤ちゃんでさえ満足に泣きわめけない世の中ってどうなんだろう。なんかいかにもな道徳観で気持ちわるいんだけど、さ。
現代人には心の余裕がないとかエゴイストが増えているだとか、それっぽいことはいくらでも言えるけど、まあ、いくら通勤時間帯の満員電車で精神的にいっぱいいっぱいだからって、ほとんどの人は一日中赤ちゃんと過ごしてるわけじゃなくむしろ久々に赤ちゃん見たなあ、くらいのもんなんだろうから、たまにはこう、赤ちゃんの号泣を聞きながら目を閉じて、自分にもあったその頃のかすかな記憶を手繰り寄せてみたりしてもいいんじゃないか、な、どう?
いや、ひよこクラブ?とかなんだいう育児雑誌から金もらったりしてないから。
よく言うでしょう。子供嫌うな来た道だ、老人嫌うな行く道だ、って。
が、とりあえずあのきったねえ茶髪の大学生は死刑!!! と、今日は珍しくマトモなこと書いたのに最後に台無しにして自己主張。では良い週末を~。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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