続けられるスタンスとは

  2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1001006.jpg

今日の画像、なんだかいかにも渋谷だなぁ~、という感じがする。奥の渋谷駅の網目模様が、たぶん渋谷って感じなんだろうなぁ~、って、上京してかれこれ四年(だったっけ?)になるけど、いまだに「渋谷に来ています!」と言うと自分が特別なことをしているような気持ちになってしまう(根っからの田舎者?)。
まあそれはいいんだけど、先日aromuさんが「絵を続けるには言い訳できるような余地(ある種の怠慢)が必要」みたいなことを言っていた。
芸大生の人と話す機会があったそうなんだけど、その人はとにかくありとあらゆることをやっている。作品の良し悪しは別として画力はいわずもがな超絶で、個展を開けば1000枚くらいはDMを送りまくる。またその中のめぼしいところには作品ファイルなども一緒に送る。ネットでの絵画販売、ブログ、mixi、と、とにかくは考えうる限りの“創作活動”を、“超絶エネルギー”でやっているのだそうである。
で、その芸大生が言った。「これだけやって何故売れないのかわからない」と。
そりゃあそうだろうと思う。そんだけ頑張って売れなけりゃそうつぶやきたくもなるし虚しくもなる。
で、aromuさんは自分は言い訳がまだまだたくさんあってよかったと。曰わく「芸大卒じゃないし」「たいしてDMも広告もまいてないし」「しっかり売り込んでないし」「そこまで絵描いてないし」みたいな、言い訳=「がんばれる余地」。
なるほどねー。
その話から、なぜだか小学校の時、父の会社の運動会に出たことを思い出した。
小学校四年生くらいだったろうか。その頃は景気が悪くなかったのか、競技に出場するごとにけっこい良い商品(テレホンカードとかだったかな?)がもらえて、やたらと楽しかったのを覚えている(物欲強し)。
そんなこんなでぼくの頭は興奮状態だったのだろう。「とも、あれにも出るか?」と父に言われ、僕はなんの競技かもよくわからないまま「うん!行ってくる!」とグラウンドの人が集まっているところに駆けて行った。
グラウンドの、トラックのスタートラインに3、40人ばかりがずらり並んだ。単なる徒競走だと思った。パンというスタートの合図とともに僕は全力でかけだした。
トラックをぐるり一周、僕はだんとつで一番だった。
やったー!一番良い商品もらえる!と思った(つくづく欲深し)。がしかし、ゴールと思われた付近で係りの人にグラウンドの外に誘導された。
そう、その競技はトラック一周を走る短距離走ではなく、長距離のマラソンだったのだった。
結果はいわずもがな、最初に全力を使い果たしてしまったぼくはほとんどドベであった(今思ったけどドベって方言?ビリが正しいの?)。
で、一気に教訓めいて話まとめるけど、おそらくその芸大生は短距離走をやってしまっているのではないか。
人生は長い。星の一生に比べたら一瞬だとかそんなことじゃなく、人生におけるすべての時間を全力疾走するには長すぎるのだ。
だから、おおいに怠けて、おおいに努力して、それで長く遠くしっかりと走ってゆけばいいのではないか。いやむしろそうしなければとても遠くまで行けはしない。
当たり前だが、母を求めて三千里って、あくまで徒歩なわけで走ってはいない。気持ちははやるし全力で走りたいのはやまやまだろうが、それでは1里(4KM)すら進めないだろう。(いかにも母を求めて三千里を知ってる風だけど、それが映画なのか小説なのか、そもそもなんなのかすら知りません。字面から勝手にそういうもんだろうと引きあいに出しただけです)
だからまあ、三流大学サイコー!画力の低さサイコー!知識の乏しさサイコー!というわけで、とりあえず僕は長く遠くまで行けそうだ、って話。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

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