浮かばれないのは絵か画家か
2017/08/22
例のくたばれ東京藝大展の絵なんだけど知り合いなんかからは送付されてきましたよー、なんて報告が次の日の昼前くらいにさっそく入ってきた。
東京都内とはいえ、郵便局の配達能力の高さにはただただ驚かされるばかりである。
というかそもそも燃えてる絵なんて普通にとんでもなく縁起が悪いような気が、僕なんかはすごくするんだけど“お年玉だー”“感激ー大事にしますー”なんて言って意外に喜ばれてるっぽかったりするみたいなのである。
価値観の多様化、なんて言葉で片付けられるんだろうか。よくわからないけれど、とりあえず僕とは違う価値観が、どうやら無限にあるようで。
話は変わるけど、今日はちょっと面白い事件があった。いや、僕の身の上じゃなくニュースの話、ね。
蕎麦屋とかで自分の唇を噛んで血を出して、隠し持っていた陶器のかけらをさっと出して「異物が入ってて唇を切った!治療代を払え!」という、いわゆる詐欺の話。それで27000円くらいふんだくったらしいんだけど、同様の手口の事件が10件くらいあって関連を調べてるらしい。
で、そのニュース読んで僕は思ったわけ。人間てのはほんと頑張り屋な生き物だなあと。
もちろん“欲深い”“いじきたない”“浅ましい”など真っ当な感想もあろうが、なんだか僕としては彼になにか努力賞をあげたいような、そう、たとえばベタベタに“よくがんばったで賞”とか、“浅ましくも微笑ましいで賞”とか、そういうのを。
で、僕は彼に一太郎とかで作ったA4サイズのぺらっぺらの賞状をあげ、それから副賞としてどこにでもあるようなごく一般的な割れてない陶器をあげる。そして僕は彼がその陶器を割ってまた詐欺をする方にリアルに一万円くらい賭ける。
陶器だけに投機という……。
言っとくけど!!僕はまだ20代。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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