拘束された草原
2017/08/22
虹が出ているよと君が言うから、僕はしかたなくけだるい体を持ち上げはじめた。目をつむっていても、耳の中は雨音にまみれていて、それで虹など出ていないことはわかっていた。
と、昨日の気持ちを鬱陶しく書いてみようかと思ったけど、とても昨日の気分には戻れないのでやめておく。今日は今日で新しい気持ちで、それは昨日とほぼ同じなのかもしれないけれど、基本とても似ているけれど、僕はそれを新しいと呼びたい。新しいと呼ぶよう呼べるよう心がけたい。
昨日の夜、一人しっかり酩酊しながら絵筆を握っているとき、ふっと次の個展の全体的なビジョンが浮かんだ。僕は子供が虹にでも出会ったみたいに、わあっ、と悦に入った。悦と言うとなんだか湿っぽい雰囲気が漂うけど、まあ単純にワクワクした。
それから個展開催までの日にちを数えて、心地よい危機感と、揺るぎない目的意識を新たにした、という、酩酊してる以外はかなりまっとうな夜であった。で、今日の文はまっとう過ぎて不満が残る。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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