どうあがいても不可避
2017/08/22
世田谷線に乗っている。女の乗務員がやけににこついている。しかし背筋はピンと伸びていて、凛々しさなんてのも感じられる。新人なのだろうか、窓外を眺める横顔に、少し熱っぽい使命感のようなものを感じる。あるいは凛々しさはそこからきているのかもしれない。
と、ここまで書いて僕はまだ彼女を一瞥×3くらいしか見ていない。要するにほとんどが僕の決めつけである。一瞬見ただけで、僕の中で彼女は決定されたのだ。イメージは連鎖していき、どんどんと実際とかけ離れてゆく。が、かけ離れたことに気づけなかったりする。
世田谷線は広島の路面電車に似ている。僕はあまり風流な男ではないが、むしろ往々にして下卑た雰囲気をにじませてしまうのだが、なぜだかこの電車に情緒を感じる。至極まっとうに、いいなあ、と思う、と同時に下車となったので終わり。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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