感覚の発展

  2017/08/22

F1000538.jpg

びっくりするくらい何もすることがないのに7時前に目を覚ます。
それならだらだらとまどろんでればいいものを僕は起きた瞬間にご飯を食る性癖があるのでシャキッと起き出し小便へ。
トイレの小窓から、これまたびっくりするほど爽やかな、朝のみずみずしい空気が流れてきて、思いがけず僕は散歩をしてみようという気にさせられた。
前は無かった街の歴史紹介みたいな立て看板が要所要所に出来てて、僕はそれにいちいち目を通しながら歩いた。
街並みはそれほど変わってはいない、けれど、やはり所々はしっかり全く別の建物になってたり更地になってたりして、そう考えるとこうやってちょっとずつ、しかし確実に変わっていき、いつか全く違う風景になるんだろう、とか思う。
神社に行って賽銭箱にちょっと投げ入れて、ベタベタな願いごとをする。
早く結婚できますように……
違う、そんなお願いなんかしない、し、こんなとこに書かない。叶わなくなったら困るから。
中学生の頃、毎日一緒に登校していたやつの家の前を通る。人気が無く、のぞくと、空き家になっていた。
どこに行ったんだろう、と思っても知るわけもなくわかるわけもなく今更なんの興味もない。
思慮などというものは無いに等しい幼い日々に、ただ“近くに居たから”一緒に居ただけだと思う。ほんとうに気が合うとか相手を尊敬できるとか切磋琢磨していけるか否かとか、そんな、今でこそ自分の中に人に対するテストというか判断基準が確固たるモノサシとして存在しているけれど、その時は何の気もなく、ただただ毎日決まった時刻にそいつの家を訪れ、一緒に登校していた。
無意味なことこの上なかったような気もする。今だったら間違いなく僕は意識的に一人であることを選ぶだろう。しかしその時は誰かとつるみ、一人ではないということに安心していた、というかそうやって安心していたかった。
その時の自分と今の自分と、何が変わったって、もう、一から十まで全部のような気がしてしまう。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

初めてじゃない外国

わたしは日本人。広島の片田舎の平凡な家庭で何不自由なく育ったが、今、外国にいる。 ...

人生の曲がり角

俗に「お肌の曲がり角」という。思えば妙に的を射た表現で、よくよく吟味すれば生身の ...

鯵の三枚おろし及び大根かつらむきマスターへの道

二学期に入ってから授業の内容が断然よくなった、と思う。 先日も書いたけれど、どう ...

時の流れはゆうに仁義を超えてゆく

2012/08/07   エッセイ, 日常

画像は仁義なき広島の左翼か右翼かよくわからないが、とにかくは何かしらの主張を威圧 ...

普通を作った人

2008/06/30   エッセイ

コロンブスの卵の話は、ある意味ケンカ売ってるような話だと思う。 この橋わたるべか ...