感覚の発展
2017/08/22
びっくりするくらい何もすることがないのに7時前に目を覚ます。
それならだらだらとまどろんでればいいものを僕は起きた瞬間にご飯を食る性癖があるのでシャキッと起き出し小便へ。
トイレの小窓から、これまたびっくりするほど爽やかな、朝のみずみずしい空気が流れてきて、思いがけず僕は散歩をしてみようという気にさせられた。
前は無かった街の歴史紹介みたいな立て看板が要所要所に出来てて、僕はそれにいちいち目を通しながら歩いた。
街並みはそれほど変わってはいない、けれど、やはり所々はしっかり全く別の建物になってたり更地になってたりして、そう考えるとこうやってちょっとずつ、しかし確実に変わっていき、いつか全く違う風景になるんだろう、とか思う。
神社に行って賽銭箱にちょっと投げ入れて、ベタベタな願いごとをする。
早く結婚できますように……
違う、そんなお願いなんかしない、し、こんなとこに書かない。叶わなくなったら困るから。
中学生の頃、毎日一緒に登校していたやつの家の前を通る。人気が無く、のぞくと、空き家になっていた。
どこに行ったんだろう、と思っても知るわけもなくわかるわけもなく今更なんの興味もない。
思慮などというものは無いに等しい幼い日々に、ただ“近くに居たから”一緒に居ただけだと思う。ほんとうに気が合うとか相手を尊敬できるとか切磋琢磨していけるか否かとか、そんな、今でこそ自分の中に人に対するテストというか判断基準が確固たるモノサシとして存在しているけれど、その時は何の気もなく、ただただ毎日決まった時刻にそいつの家を訪れ、一緒に登校していた。
無意味なことこの上なかったような気もする。今だったら間違いなく僕は意識的に一人であることを選ぶだろう。しかしその時は誰かとつるみ、一人ではないということに安心していた、というかそうやって安心していたかった。
その時の自分と今の自分と、何が変わったって、もう、一から十まで全部のような気がしてしまう。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
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