寝て見るほうの夢の話

最終更新: 2017/08/22

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いま住んでいる向ヶ丘遊園あたりに父と母が飲食店を出すことになった。おもに学生をターゲットにした定食屋っぽい店らしく、僕にどういう店がいいかアドバイスを求めてきた。
「うーん、学生をターゲットにするならやっぱ量だと思うよ。ご飯おかわり自由て書いてあったらとりあえずはおれん中で“いい店”になるもん。でもお母さんと二人でやるとなると“ご飯おかわり!”て言われるたびに行かないかんけんが効率が悪くなるのは確かかな。まあ、何を重視するかが……云々」
なんてやけにまじめ腐ったアドバイスをしていた。父母はそれをふんふんと聞きながら、後日決まった話ではご飯おかわり自由にはしないらしく料理やご飯の“適量”というのが難しい、なんて言っていた。
店はすでに確保されていて、店内はログハウスばりに自然の木を生かした温かみのある雰囲気だった。
僕はある女の子との間に子供が出来てしまい、結婚することになってしまった。子供はすでに生まれていて3歳ぐらいだった。結婚に抵抗や不安はあったが、子供という存在の前ではそんな感情以前にマイッタという感じでとにもかくにも結婚するしか道はないんだと強く思った。
そのログハウス(父母の営む飲食店)で結婚相手と子供を紹介した。
結婚しました、と。
過去形だった。届けはすでに済ませていた。親に事実を話し嫁と子供を紹介しながら、僕の胸には様々な、やたらリアルな感慨が次々に押し寄せてきていた。
こんな身分のぼくが結婚なんかしてもいいんだろうか。ちゃんと子供を育てられるんだろうか。そもそも僕の父が僕を育ててくれたような家庭を築けるんだろうか、いやいや僕は僕の人生を生きればいいわけで、オリジナルなわけで、まったく父親と同じにする必要もなく、それと比較して“僕はだめな父親だ”なんて落胆する必要もないのではないか、なんて。
そんな夢から目覚めたら、まあ当たり前に結婚してなくて、とりあえずこの世には僕の子孫は居ないようで、ホッとした反面、あのくらいぶっ飛んだ感じで結婚とかした方が糞度胸がついたりして良いのかもしれないな、とか、ちょっと残念にも思ったりして、しばらく布団の中でじっとさっきの夢を反芻していた。
僕のお嫁さん、けっこう可愛かったな。おれがバイトとかしてても良いよ、なんて言ってたな。
いま結婚なんかしたら悲惨だよ、子供なんて出来たら最悪だよ。
確か、そういう“当たり前な考え”を打ち壊し前進するのが芸術というものではなかったかな、いやいやいやいやいやいや。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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