上がらないなら失墜したい
2017/08/22
今日も1日、たくさんの数字を見た。数学は苦手だ。でも数字でない計算はしている。人付き合いをするには幾多の計算が必要だと思う。全くの素で振る舞っていいのは山下清系の人だけだろう。
当たり前だけど計算すると疲れる。けど計算しないと人付き合いなどできない、とかいうとウソツケェ、というような人もチラホラあるだろうけれど、まあ、僕は疲れる時がある、し、元気な時もある、し、全員死ね、と思うこともある、というわけで僕は正常なのである。
ああ、マブタが重い。昨日は絵ではなくYouTubeで夜更かしをしてしまった。樋口が牛の屠殺場の動画がすげえ、と言っていたので、「衝撃」というキーワードで検索してみた。
頭に銃弾を打ち込まれた牛は確かに泣いていた。呆気なくくずおれる牛の眼はやけに人間くさく、吊された牛をさばく男の白いビニールエプロンには、映画でよく見る血しぶきが派手に飛び散り、したたっていた。僕は樋口が言っていた感想とかなり近いことを感じたように思う。
当たり前すぎて忘れていることって確かにある。店頭にこざっぱりとしたパックに入れられて並ぶ肉には、その過程を想像させない清潔さがある。しかし確かに牛豚鶏がしかるべき手段で殺されて、血を流して、皮をはがされ、部位ごとに分けられ、をしている。
だからと言っていつもいつもそんなことを意識してたんじゃ鶏の唐揚げに喜ぶ食べ盛りの子ども達が鬼畜か餓鬼に見えてしまうだろう、から普段は忘れてて全然かまわないと思う。でも時々はその当たり前のことをしっかり思い出したいと思う。て、何のために?
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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