それぞれが演じて渡り歩き
2017/08/22
今日は実に天気がいい。良い天気というのは実にいいものだ。しかし何故だか、晴れに鍋は似合わない。今日はお天気だから鍋にしましょう、とは思わない。少なくとも僕は。晴れに似合うのはカレーとケイン小杉である。岡本太郎とか、太陽の塔とか作ってるしいかにも太陽が似合うだろうと思われるけれど、芸術家特有というのか、どこか湿っぽい気配が拭えないので晴れの人種には入れない。
暗く寒い夜道。唯一吐く息だけが白く光を放つような時に、ああ、鍋をしよう、もしくは鍋がしたい、と思う。
自分は自由に生きている、なんてことをよく言うしよく思うけど、実際どれだけ自由になれているのだろう。天気で食べたいものやしたい事が左右されたりする時点で、とても自由とは思えない。天気は誰かではないから、自由不自由とかの対象とはならないのかもしれないけれど、天気の影響力は絶大だから、それをカリスマ的な力を持った誰かとしてもそう問題はないんじゃないか。お天道様とも言うじゃないか。
一つ言えるのは、生まれてこの方、誰かに影響されなかった日はない。影響されて生きることしかできない、というか影響されてしか生きたことがない。
影響されずに生きる、完全に遮断されて、なにものからも影響を受けない状態、を想像してみる。それは透明で、空気も何もなく、寒い暑いの温度さえもなく、自分の心臓の鼓動さえもない。もちろん血液も流れない。となると自分なんて居るはずもない。
今日もみんな生きてるみたいだ。僕はどこまでもその中のひとりらしい。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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