その鎖に繋がれたいという欲求

2008/01/21 2017/08/22

頭が回らない。眠さとだるさとで、身体はただただ横になることを求めている。

なぜだか最近、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる。肝臓の調子もあるだろうけど、中と外の激しい温度差も関係してる気がする。原因はなんであれ、それがすごく嫌だ。正常なのかもしれないが、そこばかりは異常にしていただきたい。

大学の頃の冬、さむいさむいと背中を丸めながら教室に入ると、いつも決まって顔が上気してしまっていた。僕の身体は、どうやら温度差に弱いらしい。でまあ、そのせいである日、同じクラスの女の子にこう言われた。

「トモニ教室入ってくる時いっつも顔赤いよねー、誰か好きな人でもおるとー？」

とー、とー、とー、と、今でもそんな福岡弁が忘れられない。

席とっとっとー？なんて言葉を聞いた時には、思わず吹き出して、広島からたった300キロばかり離れただけで、これほどまでに違うものなのかと素直に驚いたものだった。

三年前、東京に来たての頃はその福岡が懐かしくて、恋しくて、よく福岡を思って虚しいような気持ちを味わっていた。

しかし今、確実にそんな甘ったるい感慨は薄れて、その代わりに僕の中心はここになったんだという確信が生まれていて、もう虚しさなど感じなくなった。

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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