高円寺最高
2017/08/22
この特盛りのどんぶりを見てくれ。今にもあふれんばかりではないか。実際れんげでこれを頂こうとするとだらしなく溢れ出てしまった。これを特盛りと呼ばずして何を特盛りと呼ぼう!素晴らしい!各牛丼チェーン店は顔を洗って出直して、こーーーい!
ちなみにこれは肉豆腐なるお料理である。
この素晴らしくイカしたナイスでクールなお店はどこにあるかと言うと無人島プロダクションの隣にあるのである。そう、昨日は無人島にまたまたまたしてもお邪魔いたしまして藤城さんに叱咤激励されましてかしこまりましてもう僕らには前進あるのみだと勇ましく無人島を後にして前進してこのお店を訪れたのであった。
このお店の名は……三度も行ったのに覚えていない。それはほとんどの作品においてタイトルはそれほど重要ではないということと似ているかもしれない。僕らはフォンタナを説明するときに「ほら、あのキャンバスに切れ目いれたやつ」と言い白髪一雄のことを「ほら、あの足で絵の具をぐっちゃぐちゃにして描くやつ」と言うのである。良い作品というのはまず作品が頭に浮かび、タイトルはあとからついてくるものなのである。そういうものなのである。だから僕らはその店を「ほら、あの高円寺にある安くて早くて旨い店」と言うのである。
しかし、例えば電車内および公衆の場において「安くて早くて旨い店に行こうよ」などと言ってしまうと「それがしは貧乏です」と言いふらしているようなものだし「でも理想は高いの。安いだけじゃダメなの。早くて旨くもなきゃダメなの。」と貧乏に加えてワガママさまで露呈してしまい「こいつら糞ビッチだな」という白い目で蔑まれかねず僕らのか弱い自尊心が傷つきかねないので非常によろしくないのである。
だから僕らはこれからはきっと、「ほら、あの無人島の横の居酒屋いこうか」と言うのである。そうすれば僕らの会話をたまたま耳にしたパンピーは「無人島?その横?子洒落たバーかなにかかな?」と思うであろうし、アート関係者ならば「無人島とか知ってるなんて、アート関係の人かな?」なんて思われるのである、きっと、たぶん。
って、おまいらに興味なんかねーよ!!話もいちいち聞いてねーよ!!
て、あ、やめて。自尊心が傷つくから。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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