再来、森村先生のご本。

  2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000990.jpg

今日はやたらと冷たい雨が降ってて寒い。しかも天気予報によると関東甲信越では3~4センチも積もるかもしれないとかいうではないか!何を考えとるんだ!おい空!おい雲!今月はな、3月はな、おれの誕生日なんだぞ!29日は晴れてくれい。
でまあ今日の話題は画像の本から引用。岩波書店から出ております。
以下引用
読者のみなさんは昼型だろうか夜型だろうか。私は作品を制作する美術家であるが、こういう人種は一般的に世間が寝静まったころになってやおら調子が出てくるものと思われがちである。絵描きや物書きの知人達に聞くと、たしかに夜型が多い。
だが私は昼型である。できるだけ朝から仕事をやり、夜更かしはなるべくしないように心がけている。酒とタバコと薬にまみれて絵を描いたりするいかにも芸術家的な感じの生活とは対照的に、私は健康的な生活を送るよう肝に銘じているのである。
とはいえ、やはりなかなか寝つかれない場合もある。そんなときはどうするか。寝酒をいっぱいひっかける。読書する。睡眠薬を常備する。……そうではない。CDを聴く。音楽のCDではない。ここでもまた深刻な悲劇的芸術家像を裏切って、聴くのは落語のCDである。
私は大阪生まれなので、上方落語のCDを聴くことが多い。「地獄百景亡者の戯れ」などという、ゆうに一時間を超える長編落語がある。ああいう長いものはゆっくりしたテンポで始まるので、安眠の波長と重なりやすい。始まって五分もたたないうちに私はしっかり眠りについている。落語が本題に入る前置き部分を「枕」というが、私は「枕」ど枕についてしまっている。
引用終わり。
別に重要な話でもなんでもないんだけど、こういう「典型を裏切る」感じってきっと樋口は好きだろうなあと。いや多分「典型を裏切ると思われてるイメージが気持ち悪い」などとまたわけのわからんことを抜かすかもしれない。
でまあ僕はその逆、悲劇を気取っていたいわけで、って最近はめっきり僕の性格も変わってきてしまい僕の特技のようだった“悲劇性の捏造”はすっかり影を潜めてしまった。
そんなだから多分、今のぼくは大抵の人から「楽観的でお気楽なおめでたい絵描きのクソ野郎」と思われるのがせいぜいなのではなかろうか。
というか森村さんがいわゆるゴッホ的な芸術家ではないことはわかったがなぜに健康志向なのかはよくわからない。森村さんの作品からは時に非常に不健康で不健全な空気を感じるが、しかし本人はいたって健康志向。
そのギャップ、なにかリアル過ぎてリアルじゃないという、実際の戦争よりも戦争映画の方がリアルだと言われるように(何かの本に実際の戦場で聞く銃声は驚くほど迫力がない乾いた音で、プライベートライアンを見た方がよほど戦争の“感じ”が伝わってくると書かれていた)、人間の作為の加わっていない実際の現実そのものの“リアル”と、僕らがイメージとして抱き、またそれと対峙したときに感じる“リアル”とは、少なくないギャップが横たわっているのだろう。
健康な人間が描く病気、病気の人間が描く健康、そういうものの方がリアルで、また斬新で、健康な人が健康を病気の人が病気を描くと余りにもリアルすぎて逆に嘘くさくてありきたりなものになってしまう、僕らが「リアルだ!」と感じる仕組みには、なにかパラドックス的なものが重要な働きをしているのかもしれない。
例えば、誰かの死とか、とにかくは自分にとって不幸な何かしらを“想像”した時にはしっかり悲しめて泣けたのに、それが実際に現実になった時には逆に悲しくもなく涙も出ない、というような。
なんか、そう考えると僕らは現実世界で生きてんのか頭の中で生きてんのか、あやふやになってくる。
さらにそう考えるとキリストが「姦淫したいと思うことはすでに姦淫したことと同じである」みたいなことを言ってたのとか、なんか別の捉え方ができそうだ。「キリスト想像力ありすぎ!」みたいな。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家/WEBデザイナー/合同会社シンタク代表。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

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