GEISAI終わり、日曜大工と草野球

  2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-DVC00366.jpg

画像はGEISAIの準備風景。なんかこうして見ると、ブラックとか誰かの抽象絵画みたいでけっこう悪くない風景な気がする。
で、この時からもう一週間ほどが過ぎた。時間が経つのは早いものだ、というわけで最近、「なぜ大人の時間は早いのか」とかいう前から気になっていたことのアンサーを出してくれそうな本を買った。まだ読んでない、が、明日から読みはじめる予定。
GEISAIの展示内容はじきにホームページにアップしますので、今しばらくお待ちいただければと思います。けっこうめんどくさいんですが、気が向いた日にチマチマがんばります。
一昨日、珍しく部屋を模様がえというか日曜大工をした。作家としてあるまじきかもしれないがアートだョ!!全員集合で作った板をDIYに使ってしまいました。ノコギリでギコギコ切断、本棚の一部に使ったのです。つまり高尚な作品を低俗な日常におとしめてしまったということなのである! ぬおおおお、我、アーチスト失格!
まあ失格でも抹殺でもなんでもいいけど、そんな肉体的に疲労した次の日、つまり昨日は、一転してほのぼの多摩川に草野球を見にいった。見にいった、と行ってもチケットや観客席があるわけではないので正確には、眺めた、もしくは、覗き見た、盗み見た、という方が正しいかもしれない。
グラウンドでは大人チームと子供チームに別れて試合が行われていた。微笑ましい対決だった。土手では数人のお母さんが我が子が居るのだろうその試合を眺めていた。
当たり前かもしれないが大人チーム優勢で、大人が攻撃ばかりしていた。そんなこんなで数回が進んだころ、監督とおぼしき男がこちらの土手に歩いてきて、一人のお母さんに声をかけた。
「はるママ、守りますか?」
はる、という名前の子のお母さんなのだろう。ぼくは「えーっ!そんな軽いノリで参加すんの?!」とびっくりしたが、はるママは当たり前のように「はいっ」と言ってグラウンドに降り、グローブを付けて守備についた。
ママさんバレーならわかるが、野球までするとはなんてアクティブなお母さんだと思っていたら、今度ははるママはバットの素振りを始めてバッターボックスにまで立ってしまった。
そしてフォアボールで一塁に出た。で、次の人が凡打で、はるママは二塁へ走る、走る、間に合うかどうか微妙、と思っていたらはるママは二塁ベース直前で躊躇なくずざざざざスライディングでセーフ。
ぽかーん。げらげらげら。
一瞬、目を疑った。ジャージでもなんでもない、パンツとジャケットといういかにも主婦の普段着らしい服なのに、汚れもかまわずスライディング。お尻からひざにかけてが泥にまみれていた。男前とは彼女のような人のことを言うのだろう。
で、その次も凡打。
はるママは三塁へ走る。またしてもアウトかセーフか微妙、むしろアウト!と思っていたらまたしても躊躇なく繰り出されのはヘッドスライディング!
マンガでしか見たことないような見事なそのヘッドスライディングは、女の顔に傷が付いちゃあ……というような一般論を「ハア?いつの時代だよてめえは、封建制度は終わったんだよ!男女平等なんだよ!フェミニズムなんだよGIジェーンなんだよこのブサイク!」と唾棄するようなダイナミックさ力強さがあった。
それは一種芸術的だった。現代美術が価値の転覆を本質としているならば、それはまさしく価値の転覆であり現代美術に違いなかった。主婦とはこれこれこういうものであると思い込んでいた僕の価値観が転覆したのである。
なんか赤瀬川源平みたいなもの言いだけど、わたしはそこに藝術のかけらを見た。それは少し風が強かったがとても天気のいい、日曜日だった。終わり。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

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