ほぼエッセイ、ときどき現代の美術とアート。

あまりにも有名なスピード

  2019/11/17

元スピードの一人、今井絵理子が内閣府政務官に任命された。

スピードといっても今の若者は知らないかもしれない。90年代を代表するアイドルグループで、とんでもなく売れて、ばかみたいに流行った。いつの時代にもアイコニックな存在がいるが、まあそういう類である。

そのメンバーの一人が、今月13日付で内閣府政務官になり、防災や原子力など17分野を担当することになった。べつに頭脳派アイドルグループとかいう設定で売れていたわけではない。その意味ではいたってノーマルである。

それは沖縄の基地問題について聞かれた際、「これから勉強していきたい」と答えたことからもわかる。小学生からアイドルをやっているから、勉強する時間もなかった。

彼女が選ばれた理由がわかる。彼女が持っているのは知名度ただその一点であって、それ以外なにも持ってない。しかし現代、なんでも「要するに」とざっくりまとめて一言で済ませようとする世界で、知名度以上にわかりやすい要素はない。

彼女を重要なポストにおいた今回の人事に批判の声は多い。しかし、政治家が特別に愚かなのではない。そもそもの我々が愚かなのだ。

福沢諭吉が「学問のすすめ」の中で言っている。

愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。ゆえに今わが日本国においてもこの人民ありてこの政治あるなり。


引用元:『学問のすすめ』福沢諭吉(青空文庫)

要するに愚かな国民の上には悪い政府が、賢い国民の上には良い政府があるということ。いくら政治を嘆いても、彼らを選んだのは他でもない我々である。

愚かな我々は知名度に弱い。だからスーパーなんかでも、ついキューピーのマヨネーズを、エバラ焼き肉のタレを、丸美屋のふりかけを選んでしまう。中身なんかろくすっぽ見ずに、ただ知っているというだけで。

だから彼女は選ばれた。ふりかけと同じノリで、なんとなく。

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