美術家 新宅睦仁のブログ。ほぼエッセイ、ときどき現代の美術とアート。

夢はうなぎのよう

 

アートフェアART FORMOSA 2018(台湾) の展示風景

今日からアートフェア「ART FORMOSA 2018」が台湾で始まる。

画像は現地の会場にいるスタッフから送られてきたものである。これを目にした時、なんとも言えない気持ちにさせられた。

これといって目新しくもない。この手のホテルでの展示は、何度となく見たことがある。

しかし、それはいつも私ではない誰かの展示で、いつも私に羨望を、屈辱を、はたまた怒りをさえ覚えさせるのだった。

なぜそこにいるのが私ではないのだろうか。なぜ私はそこにいないのだろうか。それが今は、そんな陰気な鬱憤が、それこそいっそ懐かしい。

確かにひとつの夢がかなったのだと思う。だけどその夢は叶った瞬間たちまち私をすり抜けて、後ろか下か、とにかくは前方ではないどこかに消え失せた。

夢というものは、追いかけることしかできないらしい。追いかけるから夢なのであって、叶ってしまえばもう追いかける必要はなく、そして夢でもなんでもなくなる。

夢を追いかけるのはしばしば悲しいものだが、夢が叶うのもまたべつの悲しみがあるのだとは、今の今まで知らなかった。

また新しい夢を追いかけて、つかまえて、また追いかけてはつかまえて、それこそ夢はうなぎのよう。一度か二度しか触ったことはないけれど。

新宅 睦仁

1982広島県生/2005九州産業大学卒/2013新宿調理師専門学校卒/現代美術家/ロサンゼルス在住のカトリック。牛丼やカップヌードル、コンビニ弁当等、食物をテーマに作品を制作している。無類の居酒屋好き。

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