長寿にある、くだらなさ

最終更新: 2017/08/22

イライラが続いていて、どうにも収まんなくて、もうおれなんてどうにでもなっちまえ、で、コンビニに行って買ってきたのがこれらのもの。しっかりびっくり低カロリー。じゃがりことかポテトチップスとかいろいろ美味しそうなものはあったんだけど、なんというか高カロリーには、どうにもこうにもおびえてしまう。ここまでくると、もう病気のような気もする。自分がファッションモデルか何かならまだ解るが、僕はもちろん一般人。この妙な意識の高さはなんなんだろう。

もともと僕は真面目な人間で、自分でもそう思うし、人にもよくそう言われる。早起き一番、健康一番、タバコはやめて、そしてちょっとばかしお酒はたくさん飲むけれど。僕のお父さんもそんな人。若い頃は吸ってたってさ。で、傍目には、ちょっと何が楽しくて生きてんのかわかんない。そんな人。

真面目に生きるって、たぶん疲れることなんだろうね。まあ、大事なのはバランスで、僕はもっと不真面目ならよかったのに、とか思う。僕にとっての不真面目は、きっと少なからず背伸びのようで、どこか不自然で。

コンビニの店員の髪の毛はかなりの茶髪で、僕は黒くてしかもぼさぼさで、差し出す商品は焼めざしにあたりめにカロリーゼロビール。茶髪の彼はだるそうに僕から五百円弱を奪い取る。僕は申し訳なさそうにおつりを受け取って、コンビニを出る。

空は見上げない。見上げるという発想が出てこない。空を見上げていたのは、タバコのおかげでもあった。今はもう、立ち止まることもなくて、それで見上げることもない。落ち着こうとする時は、深呼吸と、猛ダッシュ。コンビニへの百メートルを、僕は全力で走り、それから息が上がらない自分に驚く。タバコとは、こうも健康を害していたのかと。そう、最近、走るのがとても楽になったんだ。それで、ことあるごとに走ってみてる。暗い夜道、帰り道、わけもなく、早歩き、それからいたたまれなくなって、猛ダッシュ。家まで走って、走って、だっだっだっ、という激しい足音に、前を歩いていた婦女子が僕を暴漢かと思ってか、振り返る。僕はもちろん、目を合わせずに追い抜いて、ひたすらに家を目指す。自宅のビルのエレベーターに乗り込んで、ハァハァ言いながら、何を食べようかを考える。

なんていうか、人生が終わる気がしない。延々と続いていくように思える。それが若い、若さ故の愚かさだとしても、そんな気がする今は、それが真実なのだと思う。そう、人生に終わりはない。

そう考えた瞬間の、一瞬あとにはもう、人生は終わってしまうものなのだから、もっと投げ槍に、というかもっと大胆に、やってやってやりまくったっていいのではないかと強く思ったりする。いや、シモの話ではなくて。

こういう考え方の、気持ちの変遷。激しい移り変わり。昨日言った信念が、今日は冗談、嘘になっている。そんなこんなが、きっと若さなんだろうな。

で、思う。若いことが素晴らしいのではない。若さにある浅はかさに乗じて何ができるか、するかが重要なのだと。

あ、今デジャヴった。

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わかりやすく投げ銭で気持ちを表明してみようという方は、天に徳を積めます!

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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