築くほどにおののくのは崩壊
2017/08/22
ゲロゲロ、とよく言う人がいる。一人は大学からの同級生で、1人は母親だ。
わ、死語だ。その言葉を聞くと、僕は毎回そんな反応をする。しかしふと思う。そんな無意味すぎる言葉の方が、かえって濃い記憶になるんじゃないだろうかと。
がっちがちに限定された意味しか持たない言葉、たとえばありがとうとか、気をつけてとか、がんばってとかより、なんか、ゲロゲロの方が尊いような気がする、もちろん、馬鹿げてはいるんだけど。
なんだろう。その人が死んで、記憶を辿るとき、僕はなぜだか、そんな無意味な言葉を思い出して胸を痛めるんだと思う。
どんな素晴らしい言葉より、馬鹿げた、ふざけすぎた、ゲロゲロなんて、脱力してしまう言葉で、僕はいたたまれない気持ちになる。
それはたぶん、毎日のほとんどは、人生の大部分は、何の面白みもない、味気ない、作業的ですらある、そう、無意味なことがらで占められているからだろうと思う。
だからあんまり、意味ねえよ!と、バッサリ切り捨てないように、無意味をムゲにしないように。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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