時々は噛みちぎって吠えて

最終更新: 2017/08/22

男というものは、建設することも破壊することも無くなってしまうと、非常な不幸を感じるものだ。

と、誰かの言葉。今、やけにお腹が張っている。喉元に、時々カレー味っぽいものがせり上がってくる。しかしカレーを食べたわけではない。あくまでカレー味っぽい何かである。

なんとなく思っていたことがある。女性の喫煙率について。男性の喫煙率は年々減少しているが、女性の方は微増だそうである。

その増加はそのままキャリアのある女性の増加のように思われる。女性の男性化とか、ちょっとぶったようなことも考える。

と、ここからは全部憶測。たとえば深夜の帰宅、会社を出た時の人通りの多少とか、明日も早いにも関わらず飲み屋に寄ってしまうとか、暗い夜道、ふと立ち止まって空を見上げたり、あるいはけだるい休日の朝、ベッドに腰掛けて、とか。

それぞれの場面で、煙を吐き出している女性を想像する。

たぶん、その一服の中に、今までは男だけが見ていた世界があるんだと思う。仕事とか生活の細々とした目先のことを超えて、人生そのものを省みられるような時間が、それなのだと思う。勝手な決めつけだけど、女性というのは基本的に省みるということをしない生き物なのだと思う。

淡い恋愛に始まり落ち着き払った結婚に収まり育児に追われ老後の道を整える。そうして、省みない、という。

しかし煙の中を覗いた女性は色んなことに気づいてしまう。今が永遠には続かないことを実感したり、体の衰え老いの速度を指先に見たり、煙越しの男性の白けた印象だとかを。

別に喫煙女性を擁護したいわけじゃないけれど、むしろ喫煙女性は嫌いなんだけど、そう考えると喫煙女性には思慮深い人が多いのではなかろうか。あの樋口一葉も、確か結構なタバコ好きだった気がする。とかなんとか言いつつも、僕は頭の切れるような女性が嫌いだったりする。そうそう、男尊女卑で。

何かしら思った方は、ちょっとひとこと、コメントを! 作者はとても喜びます。

わかりやすく投げ銭で気持ちを表明してみようという方は、天に徳を積めます!

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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