偶然に生まれて絶対に死ぬ
2017/08/22
ベーコンスタイルで絵を描いている。つまり写真を見ながら描いている。
なので、いつか撮った写真を引っ張り出してモチーフを探す。
と、祖父の末期の写真が出てくる。寝たきりで褥瘡まみれのじいさんは、当たり前かもしれないがインパクトが桁違いだ。少なくとも酔いどれにへらへらと笑っているいつかの僕のスナップよりは。
そんなこんなで本日の画像。いつかの僕が意識してアルバムに収めたのかもしれないが、じいさんと、実家の近くの教会の十字架が並んでいる。
これまた当たり前かもしれないが神は人間を救わない。少なくとも十字架、キリストはじいさんを救わない。アルバムの中で並べたくらいじゃその恩恵には預かれないのだ、ってそもそもじいさんは何にも信じてなさそうだったから救いもくそもないのかもしれない。
骨になる間際のじいさんの目はつぶらだ。妙なほどに、澄んでいる。
諦観か、満足か。何歳まで生きたって満足など無い、とか言うけれど、実際はどうか知らない。
この世にはあらゆることをやっている人がいるけれど、誰一人として死んだことがない、というのは、なんだか救いのような気がする。
そんなわけでじいさんを描いている。センチメンタルな絵画はクソだ、とか思いつつセンチメンタル大好きノスタルジー最高、陰欝とハネムーン、そんな気分で描いてんのに、なぜか画面は妙に澄んでいて、明るい。色鉛筆にのめり込む。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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