ふさわしくない散会
2017/08/22
年の瀬の夢の中に、またしても祖父が出てきた。
母方の実家の食卓に、祖父は座っていた。僕はその祖父が僕だけに見えているのではないかと疑って、デジカメで撮影する。ちゃんと写る。
隣にいた母に僕は耳打ちする。「こんなはっきり見える幽霊もめずらしいよね」と。
それからしばらくは祖父とあたりまえのように談笑していたのだが、不意に僕は、そろそろ祖父が行かねばならないことを直感的に感じる。呼応するように、祖父が立ち上がる。僕はその後ろをついて歩く。
玄関まで来て、いよいよ祖父が出ていこうとするとき、僕はどうにも悲しくなって耐えきれずに激しく泣いた。祖父が僕の背中をさすってくれていた。僕は切なくてちぎれそうになって号泣した。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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