いつも何かが欲しくって

  2017/08/22

つまり、どこにも行きたくない-F1000208.jpg

「企画書は1行」という本を読み始めた。
その前にこの本を買ったのは、絵のプレゼンも企画には違いなく、ビジネス的な企画書の作成法はきっと何かしら役に立つと思ったからなのだった。つまり僕の人生にとって得そうな本だったからお買い上げなのであった。
で、企画書で重要なのは一行で表現することがポイントなのだという。
たとえばスピルバーグの出世作の「ジョーズ」をプロデュースしたダリル・F・リチャードという人は、ジョーズをズバリ「美女がサメに襲われる映画」と表現した。
シンプルに表現することによってその作品のコンセプトが自分の中でまとまりブレが無くなる、し、他人にはすごく明解に伝わるようになる。
確かになあ、と納得した僕はさっそく自分たちをどう一行で表現するかを考えてみた。
芸術で芸術をこき下ろす。
って、なんだかうまく表現できないのだった。ということはまだまだ、というかむしろブレまくりなのであるからして、可及的速やかに我々を一行で表現せねばならないのである。
しかし、あるいはブレが我々の本質であるかもしれない、などと屁理屈を思いついてみたりする。
芸術が死んだ時代のペテン蘇生術。
うん。今やろうとしているのはこういうことではないか。しかもまぐれ当たりで蘇生したりしたとしてもあくまでもペテンであるから蘇生したことに本人が気づかなかったり、生き返ったことに慌てて思わずもう一度死なせたり、とか。
何をやろうとしているのか、何をしたいのか、どうしたいのか。
確かにそれを一行で考えてみるのはあながち無駄ではない気がする。
とりあえず今のぼくは、
腹が減って家に帰る独身男性。
なのであった、って、なんじゃそりゃ。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

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