針の先で逆立ち、笑顔

最終更新: 2017/08/22

指先が冷たい。最近だいぶ暖かくなってきたのに、今、右手小指の指先だけが、ちょっと痛いくらい寒い。感傷的な目で見れば、これは僕のこころで、現在の恋愛が寒々しいから小指が……なんて口が裂けても言わない。

と、唐突にいくぜ! ヘイYO、YO!ってこれはヨーヨーでもヨーヨーマでもなくかけ声だぜ、これはYO!え、なに?わかってるって?だまれマザファッカ!最近友達にあの回の、何階の?YA YA YA、その階じゃないぜ、で、とにかくとにかく、ラップのブログが一番傑作だったって言われたからYO!バカの一つ覚えでリベンジラップって訳だぜ!ラップとサランラップは完全別物だぜ、YO YO まさにこれってトラップ(罠)じゃぁーん、てそこ! そこの鼻のでかい、Oi オイ、おまえだYO!

よっ、よっ、よおっ! はい、はい、はははいはい! 「よ」から始まる思い出話ぃー、イェーイ。

僕には昔ヨシコという彼女がいた。もちろん彼女とは恋人のことで、僕はその子をけっこう好きだったと思う。

付き合い始めて一月経つか経たないくらいの頃だろうか、僕はその彼女と福岡はももち浜あたりにあるマリノアシティって複合商業施設に行ったんだ。

いや、ただのショッピングモールを、複合商業施設なんて呼ぶと、まるで鉄くずやICチップとか、百円均一の商品を製造してるクソおもしろくもない施設のようにも聞こえるけど、彼女はそのマリノアシティをそう堅苦しい言葉で呼んでいた。といっても僕は、彼女がそう呼ぶのを、とても気に入っていた。むしろ僕が彼女を愛したのは、ただそのことによってかもしれないくらいだった。

しかしなんていうのかな、彼女は僕がそこを気に入っているのを知っていた。ちゃんと、認識していた。それで彼女は僕の好む志向を、ただそのことだけから推測し、そしてここが一番重要なところだ、その予想はかなりの精度を持っていて、またたく間に彼女は僕の「好みの」女性になっていった。

それで満足できれば、僕は今頃所帯でも持って、ぼちぼちな人生を歩んでいたんじゃないかな。あー、そう、カレーとトンカツ、それに電化製品を愛する、お父さんだ。しかし、そうはならなかった。

昔の偉人、ドストエフスキーなんだけど、その人がこんなことを言っている。

人生は苦悩と苦痛に満ちている。しかし今では、人間は人生を愛している。それは人間が苦悩苦痛を愛しているからだ。

で、僕の所帯はオジャン。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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