年末のお約束

最終更新: 2017/08/22

街角に門松がちらほらとお目見えする時分になった。

年末である。となれば、自ずと一年を振り返らなければならない。

まず思うのは、私にとって今年は飛躍の年であった。今までかすりもしなかった公募で入選を重ねたのを筆頭に、グループ展や個展と、私の美術家人生においてもっとも露出が増えた一年だった。

それで、6、7月ごろなんかは、今年の年末はきっと達成感とか感慨がすごいんだろうなとか思っていた。しかし今、実際年末になってみると、感じ入るところは決して多くなく、いつものように「はあ、年末か」と、ため息混じりに思うばかりである。

自分でも不思議である。来年とてさっそく1月から静岡で個展、5月ごろにも京都で個展、11月には東京で個展と予定が詰まっている。しかし、どうしてそれほどのモチベーションも喜びも湧いてはこない。

慣れとは恐ろしいものである。早くも”展示の予定があるのがふつう”になってしまっているのである。ほんの数年前までは、とにかく展示したいさせてくださいという”展示乞食”だったにも関わらず、である。

喜びは続かない。幸福も続かない。何もかも永遠ではない。ただ一瞬一瞬が淡々と過ぎ去るのみである。

本当は、しかと噛み締め味わわなければならない。わかっている。だけど、どこかで、今年はなんかすげえいろいろあった気がしたけどこんなもんかと残念に思っている自分がいる。

何はともあれ、もっと頑張らなければならないと思う。とはいえ、この一年というもの絵を描かない日は皆無だったし、頑張ることもまたふつうのことになり、やって当たり前になっている。

悪くないとは思う。よくなったとは思う。しかし、達成感は薄く、不全感こそ濃厚である。

まあ、何を感じても思っても、新しい年がやってくる。愚直に更なる高みを目指したいと思う。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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