スマホ、かっこわるい(携帯電話をいじる人に感じるバカっぽさ)

電車で携帯をいじっている人を、かっこ悪いと思う。居酒屋で携帯をいじりながら呑んでいる人は、もっとかっこ悪いと思う。

言うまでもなく私の独断と偏見である。しかし逆に、かっこいいと思う人などいるのだろうか。「うお、歩きスマホかっけえ」とか、「スマホを肴にひとり酒とは粋だねえ」なんて思う人は、たぶんいない。

たいていの人は少しでも自分をよく見せたいと思っているし、そのための努力を惜しまない。服を買ったり、髪を切ったり染めたり、あるいはダイエットに励んでみたり。つまり、皆なんらかの美的価値観を持っていて、それに則って生きている。

にも関わらず、なぜにそこはスルーなのだろうか。恐ろしく簡単に改善できることなのに、だれもそのことを考慮しない。たとえば、仕事の昼休憩に同僚とごはんを食べにいく。混んでおり少しばかり並ぶが早いか、携帯をいじり始める。または友達と一緒にいて、ちょっと席を外して戻ってみると、もう携帯で何かしている。あるいは恋人との待ち合わせ。夢中でスマホを見ていて、近づいても気づかず、声をかけると冗談みたいにびっくりした、その顔。

ありふれた光景であり、類似のバリエーションはいくらもある。もしかすると寸暇を惜しんで新聞を読んでいたり、アプリで語学学習でもしているのかもしれない。しかし、何をしていようと、傍から見てそれはどうにも「絵にならない」のである。

そうしてもっと言えばバカっぽい。本当はとてつもなく頭がいいのかもしれないが、しかし、どうひいき目に見てもバカにしか見えないのだ。曲がりなりにも大人であれば、人生の多くが他者の評価で左右されることを知らない人はいないだろうに、誰もその「バカっぽさ」を気にもかけず平気なのである。

それはなぜか? その人はそこにはいないからである。今ここにいる現実世界の評価ではなく、スマホの画面のあちら側の世界こそが、生きたい時間であり、常識やモラルを発揮する場所であり、格好よく見せるべき場面なのである。

だからこそ、みっともなく背中を丸めてメシを食いながら平然と携帯をいじり続けられるのである。つまり、こちらの人にどう思われようが、あちらの人には全然関係がない。もっと、「いつもオシャレなランチでいいね!」なんて言われて気をよくしているのである。それこそ救いようがないバカだと思うのは私だけだろうか。なんて、問いかけるまでもなく目の前の現実がその答えである。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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