ほぼエッセイ、ときどき現代の美術とアート。

いざ立ってみると、何もない。(夢や目標は現実になると色あせてつまらないことを知る)

数年前に渇望していた目標は、先年軒並み現実のものとなった。たとえば、公募展での受賞や個展の開催である。

かつて私は、大枚はたいてでも個展をしたく、実際そのようにやっていた。それが去年今年と展示が続いているが、すべて私の負担はない。

これはまったく驚くべきことであって、かつての私を思えばこそ狂喜して乱舞してしかるべきであるのに、それがない。

最近またひとつ吉報があって、とある有力サイトにお声がけいただいた。私の作品を取り扱いたいのだという。いつか私はそのサイトにお金を払ってでも関わりたく、どうするか真剣に悩んでいた。そのことを思えばこそ、もっと喜べと、私は思う。

しかしそのあるべき感激がない。喜びがない。我が神経を怪しむほど、何の感慨もない。

いま私が立つ場所は、往年の私からすれば山の頂にも等しい。卑下も謙遜も必要なく、私はやった、がんばった。そう思って誇って誰に迷惑のかかるでもないのに、私は相も変わらず不満である。

それならどこまで行ったら満足か。何がどうなったら幸せか。たぶん何がどうなっても、芥川賞を取っても紫綬褒章をもらっても、あるいはノーベル賞にあずかってもやはり満ち足りないのである。

何を小癪な、そのような雲の上のことがわかるはずがないと嗤われるかもしれないが、そのくらいの想像力は誰にもあるのである。

たとえばあなたの結婚が芸能人の某、ハリウッドスターの某だったとしても、その喜びの甲斐ないこと、たかが知れている。せいぜいが今の妻、今の夫の延長線上であって、いっそ同じである。

つまるところ、すでに私はすべての喜びを知り、経験し、そしてあとはその大小とバリエーションに甘んじるしかないのではないか。

それは予感などというものではなく、絶対的な真理だと諦めてもいるが、しかし、とにもかくにもそこに向かうしかない。これといって他にすることはないのだから。

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