田中武氏の作品に関するコメントについて

2023年9月1日(金)、X(旧ツイッター)にて、田中武氏の作品「十六恥漢図 」を良作であると認める投稿をしたところ、批判のコメントが集中し、炎上しました。


*該当の投稿は削除済みのため、ご興味をお持ちの方は「新宅睦仁 ミソジニー 」などのキーワードでご自由に検索してご覧ください。

ほとんどのコメントが的外れであり、また、私がミソジニーであると勝手に解釈されているようなので、ここではっきりと説明しておきたいと思います。

まず第一にお伝えしたいのは、絵画の見方、解釈に絶対はないということです。私とて、昨今の世相の中、わざわざミソジニーであることを表明するためにツイートなどしません。

私は当該作品を、純粋に現代的な女性の図像を、古典的表現を踏襲しながらも現代的に表現している佳作であると認識しているのみです。

そこへ「この図像は明らかに女性侮蔑である」よって「それを認めるあなたは女性差別のミソジニーである」という理論でもっていくら批判されても、「私にはそうは見えない」としか言えません。

「絶対にこうである」というような解釈は、アートの世界ではあり得ません。あるとすれば有力な説くらいのものであって、それとて「絶対の基準」ではありません。解釈はそれこそ人の数だけあるからです。これは古今東西普遍の真理です。

また、私は美術家であって、批評家ではありません。世論も踏まえた崇高な理論でもって現代美術作品の良し悪しを判断しているわけではありません。そこには私の素朴な好みが往々にして影響しています。そしてある作品を良いと思うかどうかは、それこそ私個人の自由です。人様に「こんな作品をほめるなんておかしい」などと言われる筋合いはありません。

そもそもの話、個人的には、ある人物がミソジニーであるかどうかなど、どうでもいいことだと思っています。しかしあえて、私がミソジニーではないことを表明する必要があるのであれば、そのような男性は、そもそも「82年生まれ、キム・ジヨン」「射精責任」「あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない」など、フェミニストに関連する書籍などを積極的に読まないだろうということです。

それらを読んで、現代における女性のおかれた立場を理解しない者などいないと思います。

そんなのは言い訳であり詭弁だと思われるのは勝手です。ただ、本件とは関係のない、私の文章や作品、容姿(男性や中年であるという属性含め)に対するいわれのない誹謗中傷などが続くようであれば、法的措置も検討いたしますので、そのつもりでご発言ください。

以上、よろしくお願いいたします。

新宅睦仁
2023年9月1日

***

その後もさまざまなコメントをいただきました。特に、私の過去のツイートから、批判材料を探してきて提示してくるという動きがあり、批判は別の方向に向かっているようでもあります。

過去のツイートに関しては、すべて私の発言であり、相違ありません。懇意にしている方との会話の流れで出たこととはいえ、軽率であったとも思います。なお、その方とは、現在も良好な関係を続けております。

私が発信したすべてのテキストは、私という人間の一部ですが、すべてではありません。もちろん、一部だけを切り取って私という人間を判断されても構いませんが、人間というのは恐ろしく複雑な生き物です。

つまり、「それだけ」であることの方が珍しいと思います。たとえば、自宅でDVを繰り広げたその足で、街角のホームレスに施しをするなんていう矛盾した人間はいくらでもいるものではないでしょうか。

あるひとつのコメントから、私をミソジニー(ミソジニー (英: misogyny) とは、女性に対する憎悪や嫌悪である。 女性嫌悪、女性蔑視と訳される。 また、女嫌い(おんなぎらい)ともいう。(参照: Wikipedia:ミソジニー)であると判断される方もいらっしゃるだろうことは理解できます。

そして、そこから派生するであろう不利益、たとえば、そのような人物の制作した作品は鑑賞に値しないというような、一種の不買運動などは、一連の発言はすべて私の責任である以上、甘受いたします。

その上で、先にも書きましたが、「そもそもの話、個人的には、ある人物がミソジニーであるかどうかなど、どうでもいいことだ」というのが偽らざる本音です。

私自身は自覚がない、救いようがないミソジニーなのであれば、それはそれで仕方がないことです。しかし、仮に私がいかに醜悪な思想を持っていようが、それは犯罪のような形で表出しない限り、人様に咎められる筋合いも、権利もないと考えます。それこそ思想の自由でしょう。

ミソジニーに限らず、ある思想を持っている人間を強制的に取り除くというのは、それこそかつての言論統制もいいところです。問題は、異なる思想の人々と、どう折り合いをつけて共存するかにあります。攻撃、排除は解決策ではありません。

現時点で、X(旧ツイッター)において、ほぼすべてのコメントは無視、またはブロックしておりますが、それはひとえに、まったく建設的ではない、たんなる誹謗中傷だからです。

ミソジニーが問題であることは理解しています。では、その問題を根絶して、その先にある理想的な社会を目指すにはどうすればいいのか。単に「おまえはミソジニーだ」「ミソジニストであることを認めろ」などと幼稚な攻撃を繰り返したところで、いったいどう世の中が好転するのでしょうか。世界全体の悪意が増加するだけではありませんか。

お望みであれば、そして気が済むのであれば、私はミソジニストであると認めて公言しましょう。そして世界中の全女性に謝罪しましょう。しかしそれは、全人類に謝罪しますというくらいナンセンスなことではないでしょうか。

私の考えや発言がすべて正しいとは思っていません。私は作家としてX(旧ツイッター)を十年以上に渡って利用しており、その間に、私の精神構造や思想も大きく変化し、今も変化し続けています。

本件に限らず、間違いがあれば、改めますし、謝罪します。特に美術家として世の中にひろく作品を発信している以上、自分の言動はすべて私が責任をとります。

私は、一世界市民として、フェミニズムに限らず、さまざまな社会問題が解決し、よりよい世界になることを願う者です。しかし今回、多くの方々がとられた行動は、世界をよりよいものにしようという意志、いわゆる正義よりも、流れに便乗して誹謗中傷に走っただけにしか思えません。

繰り返しになりますが、今回の私の発言により、私に失望し離れていく方がいらっしゃっても、いっこうに構いません。作家は人気商売である以上、私は私に対する評価をいつでも真摯に受け止めます。

ただ、私に限らず、個人の一意見に対して、それがどんなに自身の価値観として容認できないことであったとしても、安易な誹謗中傷は違うだろうと思うだけです。

新宅睦仁
2023年9月2日

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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