美術家シンタクトモニによるブログ。エッセイや社会コラム、アート/美術など。ブログ開始10年目の三十路の暮れ。

距離をはかる

   

私は中年である。しがないおっさんの人生において何が辛いかって言ったら、自分の理想とする場所と、今いる自分の場所との距離を測ってしまうことだろうと思う。

さまざまな要素――現在の自分の実力、残された人生時間、可能性――あれこれ掛け合わせて、計測する。年の功というやつのせいだろう、その計測眼はいやでも年々精度を増して、自分の身の程をひとり勝手に思い知る。

ときどきは希望らしきものを感じられなくもないけれど、だいたい絶望。それが年中無休、24時間繰り返される。その間、遅々として私の人生は明るくひらけてはくれない。ただ刻々と年をとる。いよいよ精確になる計測眼が、私の等身大をごまかしなく提示して、私を苛む。

いっぱしの芸術家ぶって、大笑して馬鹿のふりでもできればいいのだが、当方、小賢しい処世術を身につけてしまったがゆえに、それも叶わない。

最近、眠る前によく声に出して言う。どうしよう、って。どうもこうもない。ただ、どうしよう、って、思う。

べつに、幸せじゃないわけじゃない。満足してないわけでもない。ただ、どうしようもなく膨らんでいく諦めのような何かしらがあって、それはたぶん、ほとんどのおっさんが感じてることなんだろう。

なぜって、どこにもいる、笑んでいるような泣いているような、なんとも煮え切らない顔をして酒を飲むおっさんの顔、まさに自分があんな感じになってきてるよなあと、最近ことに思うから。

新宅 睦仁

1982広島県生/2005九州産業大学卒/2013新宿調理師専門学校卒/現代美術家/シンガポール在住。牛丼やカップヌードル、コンビニ弁当等、食物をモチーフに作品を制作している。また、本ブログを中心に文筆活動も精力的に行う。無類の居酒屋好き。

Latest posts by 新宅 睦仁 (see all)

  関連記事

もう無限とは思えない歳

2007/12/12   エッセイ

なんつーかこれは前から思ってることなんだけど、気分がいい時、明るい時って言葉が出 ...

暗転、そしてライト

2008/04/16   エッセイ

やってみなきゃわかんないことはたくさんある。確かにたくさんある。 しかしそれと同 ...

貴重な興奮

2007/12/07   エッセイ

今日は親と何年かぶりの旅行で箱根あたりの強羅ってとこにきてる。 で、今日のハイラ ...

金銭との結婚

2008/08/26   エッセイ

今日はよくわからないけどやたらと売れてます。 やっぱリチャードは売れっ子作家みた ...

早起きは三文の得の代償

2009/01/27   エッセイ

眠すぎて体が溶けてしまいそうだ。もしかするとリアルに溶けかかってるかもしんない。 ...

PAGE TOP